2023.07.07更新日

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医学部受験の過去問の活用方法とは?

受験対策に過去問は必須と言われます。もちろん医学部受験でも定番の方法ですが、具体的にどうやって活用すればよいのか、いつから取り組むべきかなど初めて受験に臨む人はわからないことがたくさんあるでしょう。すでに過去問を始めている人が周りにいると、「自分もやらなきゃいけないのかな?」と焦りを感じることも…

しかし、「人がやっているから」という理由で、過去問をむやみに説くことは悪手です。まず、過去問の具体的な活用方法や取り組む時期を押さえて、過去問に臨みましょう。

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1.医学部受験の過去問の活用方法は?

1-1. 過去問をこなすペースは?

過去問を解くペースや時期は、その人の成績や受験経験により大きく異なります。受験生全員に共通するペースや時期というものはありません。人それぞれ異なる過去問のこなし方ですが、なるべく一週間で7~8科目分こなすことが理想で、このペースでこなすと合格にぐっと近づきます。

7~8科目というのは、大学の過去問の場合は2年分、共通テスト対策の場合は国語と社会を含めた1年分の過去問です。そもそも、過去問は多く解けばいい訳ではありません。過去問を解く理由は、「大学の問題になれる」「時間配分」「わからない問題のあぶり出し」にあります

これら3つの過去問の恩恵を十分に受けるには、復習が必要になります。そのため、一週間のうち最初に過去問を解いて、次の日以降に復習、復習が終了次第で次の過去問を演習するといったペースが好ましいです。

しかし最初から、一週間のうちに7~8科目分の過去問を解くことは難しいと思います。その場合は復習を優先しましょう。先述のとおり、過去問が意味を成すのは復習をしてからです。優先順位を間違えないようにコツコツと演習を重ねてください。

1-2. 何年分の過去問を解けばいいのか?

それでは、過去問は何年分解くことが最適なのでしょうか?

これも過去問をこなすペースと同じく、全ての受験生に共通する答えはありません。

しかし、第一志望の場合は6年分、第二志望の場合は3年分、それ以降は1~2年分を目安に取り組むことよいでしょう。

もちろんこれは理想ですので、受験生がそれぞれ大学の傾向をつかむためにこれ以上の年数を解くことは無駄ではありません。しかし最低限、上記の年数分を解かないと大学の傾向をつかむことは困難です。十分な対策ができるまで必ず演習しましょう。

演習の際の注意点ですが、過去問は知識のアウトプットであることを忘れないようにしましょう。過去問は問題集や教科書ではありあません。基本的に過去問をひたすら解いても、知識のインプットとしては効率が悪いです。苦手なジャンルを見つけたら過去問演習のペースを落として、問題集や教科書を駆使してインプットをメインに切り替えて勉強しましょう。

1-3. 過去問の解き方

過去問はなるべく全問通してやるようにしてください。設問ごとに別々の日時にやるとか、特定の問題だけを解くというやり方はあまりおすすめしません。もちろんこれが絶対というやり方ではありませんが、全問通して解かないと本番の試験での時間配分の感覚も掴みやすくなります。当たり前のことですが、過去問を解く目的は本番の試験で合格点を取るためです。本番とは違うやり方でやっても目的としている効果は得られません。それに、本番では90分や120分などの試験は長丁場になりますので、練習の段階でそれだけの長時間問題に取り組めるように集中力を養っておきたいからです。

また、医学部受験は他学部以上に時間がシビアです。本番の試験で実力を最大限に発揮するためには、問題ごとに何分ぐらいかけてよいのかすぐに見極められるようになっておく必要があります。この時間感覚を身につけるのも過去問を活用する目的です。

ただし、自分がどんな問題にどの程度時間がかかるのかを把握するには、その問題の内容がすでに習得済みであることが前提になります。よって、まだ習ってもない分野の問題が混じっていると、正確な時間感覚を掴むことができません。過去問に本腰を入れて取り組むのは、受験範囲の勉強をひと通り終えてからの方がよいでしょう。

1-4. 過去問の復習

過去問を1年分解き終わったら、そのまま放置してはいけません。過去問に限らず、すべての模試や問題集に当てはまることですが、問題は解き終わった後の見直しと復習こそが大切です。

復習のためにも、解き終わったらまず「採点」してみましょう。このとき、何点取れているかが気になりますが、得点の目安となるのは合格最低点です。しかし、合格最低点にぎりぎり達しているぐらいでは安心できません。合格最低点よりプラス10%ぐらい得点できるようになっておく必要があります。

大学によっては問題の配点を公表していない場合があります。配点が公開されていない以上、自分の丸付けの配点が正しいかもわからないため、自己採点の10%上の点数を取る必要があるのです。また、本番には合格平均点を過去問の時点では目指すことが好ましいでしょう。自分で採点ができない場合は、学校の先生や予備校の講師に協力してもらいましょう。

「採点」の次に重要になるのが、苦手分野の「精査」です。

苦手分野にもタイプがありますが、特に、「時間をかければ解ける問題」と「まったく手に付けられない問題」の2タイプに分けましょう。

前者の場合は復習のときに、問題集で苦手ジャンルの思考回路が染みつくまで演習します。後者の場合の復習は、教科書から読み直して知識のインプットをします。この二つの復習方法を使い分けることで勉強効率を上げることができますので、ぜひ試してください。

過去問演習の注意点として、過去問ばかりやらないことが挙げられます。過去問はあくまでも自分の知識を試す「アウトプット」の場であり、「インプット」の効率が悪いです。そのため、解法への思考回路や暗記事項の確認は、すべて教科書や問題集の方が効率的です。過去問は問題集ではありません。ただ過去問を焦って解くのではなく、まずは問題慣れや時間配分を考える場として利用しましょう。

2.医学部受験の過去問はどこから入手できる?

大学の過去問題集として王道のシリーズが各出版社から発売されています。赤本や青本、黒本の通称で呼ばれるシリーズです。出版社によって発売時期は異なりますが、例年5月ごろから9月にかけて書店に入荷されます。

これら過去問のシリーズは、1冊2,000円ほどと少々高いのがネックです。古本屋やフリマなどを利用すればもっと安く入手できる場合もあるでしょうが、古本では過去の持ち主が書き込みをしていることもありますし、そもそも最新年度は簡単に見つかりません。多少コストはかかるといっても、受験対策には必要不可欠なものだと思って書店で新品を買うことをおすすめします。

大学によっては、過去問をオープンキャンパスで配布しているところもあります。もし志望校のオープンキャンパスに参加する機会があるなら、過去問を入手できないか尋ねてみましょう。また、一部の大学では過去問のネット通販を行っています。大学が発売する公式の過去問ですので正当性は間違いないですが、解説が不十分なこともあるので注意してください。

3.医学部受験で過去問を解くメリット

やはり、過去問のメリットは大学ごとの問題形式になれることが一番のメリットであるといえるでしょう。医学部はそもそも他学部と比べて、問題の傾向が大学によって大きく異なります。英語一つとっても長文に医療系の文章が採用されるなど、他学部には見られない問題が多いです。一般的な問題集ではその対策が難しく、やはり過去問を解くことがいちばんの対策になるでしょう。

次のメリットは、自分の克服すべき弱点が明確になることでしょう。過去問に限らず、ふだんの模試についても同じことが言えますが、テスト形式の問題からは今まで気が付かなかった弱点や苦手を発見することができます。何度も問題集をやっているのに気づかなかった苦手や、問題集には載っていない定番問題も中にはあるため、必ず過去問演習はしましょう。

やはり、「医学部受験では過去問の活用がポイント」といっても、ただ問題をこなすだけでは意味がありません。過去問に取り組むことによって、次に似たような問題が出た時に確実に得点できるための実力を養うのが目的です。そのため、解き終わった後の復習までしっかりやってこそ、過去問に取り組むメリットがあります。

4.医学部受験の過去問を解くタイミングは?

過去問を解くのは受験の内容をすべて学習し終わってからです。未修の範囲が多いうちに過去問に取り組んでも解けない問題が多く、解けなかったという感覚が残るだけであまり効率的ではありません。早くから過去問に取り組む人がいても、今の自分は過去問を解くのに適切な状態なのかどうかを考えましょう。ただ焦ることなく、教科書の範囲を全て学習してから過去問演習に取り組みましょう。

また、本格的に過去問を取り組み始めるのは、12月以降でも遅くありません。人によっては、大学入学共通テストが終わった後からでも間に合います。第一志望から優先的に過去問を解き、最低限の年度分の過去問に目を通すことができれば過去問を解き始める時期は関係ありません。ひとつひとつの過去問を無駄にしないように過去問演習に組んでください。

5.まとめ

医学部受験において過去問演習は、必須の受験対策です。可能であれば、第一志望校の過去問6年分は完璧に解けるようにしておきましょう。しかし、過去問に取り組む最大の目的は、合格点を見据えた弱点の発見とその克服です。目的を間違えて、ただ問題をこなすだけにならないように注意してください。

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