2024.07.16更新日

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医学部受験の対策方法をそれぞれ解説

ハードルが高いことで知られる医学部受験は、受験者数が増え、その倍率右肩上がりになっています。これから医学部受験を目指す方は医学部とはどんなところなのか、受験のためにはどのような対策をしたら良いのか分からない方も多いでしょう。そんな方々に向けて今回は、医学部受験の概要とその対策についてご紹介します。

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1.医学部受験とは?

医学部とは、主に医学を研究、教育する学部です。医学部の中には、看護や薬学、生命科学などの学科を設置している大学もありますが、一般的には「医学部受験」というと「医学部医学科」の受験を指します。医学部医学科では、1~6年次まで座学と実習を両立しますが、年次を重ねるごとに実習の割合が増えていきます。修得する内容としては、1年次は一般教養、2年次~4年次には解剖学や生理学、5~6年次には臨床実習となります。医師になるためには、この医学部医学科の卒業試験に合格し、医師国家資格の受験資格を得ることが必須となります。

医学部受験は年々厳しさを増しています。合格に必要とされる偏差値は国公立大、私立大共に最低でも65をマークしなければなりません。ひと昔前までは、高額な学費から進学できる受験者層が限られていたとも言える医学部受験ですが、私立大の学費値下げや医師の将来性、安定性などを様々な理由から医学部への人気は高まり、医学部合格のハードルも上がっています。

医学部医学科の学科試験は、国公立大か私立大かによって試験内容が異なり、受験科目も大学によって違いがあります。

国公立大医学部の場合は、一次試験と二次試験に分かれていて、一次試験は大学入学共通テスト、二次試験は大学の独自問題という構成になります。共通テストの受験科目は、令和7年度からの新教育課程への変更により「情報」を含む6教科8科目の受験が必要です。しかし、「情報」の点数化を行わない大学や、配点が極端に低い大学が存在するので、受験前に志望校の受験科目をチェックしておくと受験を優位に運ぶことができるでしょう。

二次試験は例年通りの3教科4科目が一般的です。しかし、毎年傾向が同じであるとは限らないため、詳しい受験科目や受験方法は志望校のホームページを受験する一年前に確認してみましょう。

一方で私立大医学部の場合には、大学独自の試験をメインの選考方法としている大学が多く、その受験科目や問題形式、出題傾向は大学によってまちまちです。中には自分で受験科目を選択出来る大学も存在します。そういった大学は、当然ですが、受験を希望する学生が多くなるので倍率が高くなります。反対に私立の場合でも共通テストを選考に採用している大学もありますので、その場合には国公立大と同様に共通テストの対策が必要になります。

最後に国公立大と私立大の医学部で共通している特徴は、学科試験に加えて面接と小論文による試験が課されることです。いくら学科試験の点数が高くても面接や小論文の評価が悪かったため不合格となってしまうことがあるのです。医学部受験を目指すのであれば、学科試験はもちろんのこと、面接や小論文の対策も重要となります。

2.医学部の科目ごとの対策

医学部受験は目指す大学によって試験科目が異なります。医学部合格のカギを握るのは科目ごとの勉強方法です。すべての科目を同じように勉強していては合格がかなり難しくなります。教科ごとに抑えるべきポイントをここにまとめますので参考にしてください。

2-1.外国語

外国語は新課程における共通テストの大きな変更はありませんが、前年度と同様に速読の力が求められます。そこで医学部英語の対策ポイントは、単語・熟語・リーディング・リスニングに毎日触れ続けることです。医学部合格に必要な条件は、共通テストで9割以上、大学別入試でも6割以上というのが目安となります。そのため、一問でも解答できない問題があると合否に大きく響くことが分かります。まずは文章を全部読む速読力を付けるように演習しましょう。

具体的な対策順としては、まず一般英単語を覚えることです。医学部受験では基本的な英単語にプラスして医療系の英単語も覚える必要があり、その量は莫大です。しかし、医学用語は無数に存在するため受験生が暗記するのは無謀です。そのため、まずは一般英単語を完璧にして、医学用語は過去問を解く中で少しずつ暗記することをおすすめします。通学時間や、睡眠前の時間も利用して毎日コツコツ覚えていきましょう。

英単語がある程度習得出来てきたら並行して文法を学習しましょう。参考書を読み込みながら、演習問題を解き基礎的な文法は完璧に習得してください。その後に長文や読解問題対策を行うとスムーズに受験に必要な英語力が身に付きます。

長文や読解問題は読解力に加え慣れも大切です。最低でも1日1問長文問題を解くことや、時事問題に触れるために英字新聞を読解してみることも有効な対策です。また長文を復習する際には、精読→速度をして文法がすぐにわかるようになるまで復習を繰り返しましょう。

和文英訳や英作文を課す大学への対策としては、簡単な文章を作成できれば合格点を下回ることはありません。ただし、少しの文法ミスも無いように普段から文法の見直しを徹底しましょう。文法が不安な場合は塾講師や学校の先生のアドバイスをもらうことが大切です。単語や熟語がまだ不安な場合は、英作文のレベルに達していないことになりますので、単語学習からやり直してステップアップ方式で学習を進めましょう。

2-2.理科

理科科目は新課程による共通テストの大きな変更はありません。そのため二次試験の対策がそのまま共通試験の対策に繋がります。しかし、近年、思考問題が重要視される傾向にあるので参考書を利用して思考問題の対策を行いましょう。

二次試験の理科は生物、物理、化学があり、大学によって受験科目が異なります。暗記項目が多いこれらの科目は、試験本番までどれだけ記憶を定着しておけるかがポイントとなります。遅くとも受験の半年前までには基礎固めを完成させ、苦手意識を克服する必要があります。以下では各科目の具体的な勉強方法を確認しましょう。

「生物」は、医学部の根底を学ぶ科目になりますが、考察や論述問もあるため満点は取りにくい科目と言われています。標準問題で点数を稼ぐ必要があるので基礎知識は完璧にしておくことが大前提です。生物は特に暗記項目が多いですが、単語一つ一つの暗記ではなく、なぜそうなるのかという背景を理解して暗記することが高得点を狙う秘訣になります。考察や論述問題は、自分の意見を述べるというよりも、文章の中から回答に繋がる根拠を見つけることが得点するカギになるので、過去問を演習して考察問題になれることが重要です。

「物理」は、どの大学でも標準問題が出題される傾向にあるので、しっかりと勉強さえしていれば解ける問題も多くなります。まず主要5分野の中で全ての基礎となる力学を重点的に学習しましょう。もちろん公式などを暗記することも大切ですが、その公式を利用して論理的思考を構築出来るよう慣れておく事も重要なポイントとなります。力学をマスターしていれば、その他の熱力学や電磁気も効率よく習得していくことが出来るでしょう。

「化学」は、理論分野の公式の理解が最重要になります。問題を何度も解いて公式の意味を理解し、場面ごとに最適の公式を利用できるように対策しましょう。化学の学習範囲が広いという難点を克服するためには、出来るだけ早くから対策を始めることがポイントです。しっかりと理論分野の基礎を身に付け、苦手分野をなくすことを優先し、無機、有機の順に学習を進めていくのがよいでしょう。

2-3.数学

2-3-1. 数学~共通テスト対策~

まずは共通テストについて大きな変更がありました。それは「数学A」における単元の減少と、「数学Ⅱ・B」が「数学Ⅱ・B・C」への変更です。

「数学A」に関して、新課程への変更で「整数の性質」という単元が完全になくなり、全問必答になりました。しかし、出題の要項には「数学Ⅰ」「数学A」のどちらかで「整数の性質」を含む複合問題を出題する可能性があるとの記載がありますので、対策の必要があります。

大きな変更はありますが、要項では「数学Ⅰ・A」は問題の方向性を変更しない明記してあったため過去問を利用した対策が行えるでしょう。「整数の性質」以外の過去問を利用して対策を行いましょう。

「数学Ⅱ・B・C」は7題構成に変化し、第1~2問は例年通りの数学Ⅱから出題、第3問には新課程を含む数学Ⅱ、第4~5問に新課程を含む数学B、第6~7問が数学Cという出題になりました。第4~7問のうち3つを選択して解答しなければいけないため、数学Cを避けて通れないというのが新課程での大きな変更になります。

具体的な対策方法としては、第1~2問は例年通りの出題ですから過去問がためになります。第3~5問に関しては新課程を含むものの根本的な内容の変更はないため、過去問を利用することは無駄ではないでしょう。

第6問のベクトルに関しては、ほとんど出題内容が変わらないものの、「日常の事象や社会の事象をベクトル的にとらえること」を目標としている点で変更がありました。そのため、現状を固定して考える「位置ベクトル」と変化について考察するための「ベクトルの成分表示」の理解が重要になると考えられます。公式の利用などが少なく暗記しやすい分野である一方で、十分な理解をしていないと手を付けられない分野になる可能性が高いです。

第7問の「平面上の曲線と複素数平面」は、数学Ⅲで扱う複素数平面と同様の考え方で成り立っています。そのため過去問を頼れない現状では、大学の二次試験問題を利用して対策することが可能です。しかし出題方法の完全な予想はできないため、第4~7問に関してはすべての問題の対策をして、試験本番の時に一番解きやすい問題を解ける用意準備しましょう。

2-3-2. 数学 ~二次試験対策~

数学の二次試験対策は国公立大を目指すか、私立大を目指すかによって異なります。国公立大の場合、証明や記述問題を取り扱う傾向が高いので問題数が少なく一つ一つの問題にじっくり取り組む形式となります。一方で私立大学は、穴埋めやマークシート形式で時間に対しての問題数が多いことが特徴です。そのため、時間内に全ての問題に回答できるかが合否を握るポイントになります。

他の科目と同様、基礎の習得から始め、演習、応用問題をたくさん解いて問題に慣れることが大切です。医学部受験では、弱点が一つでもあると足元を掬われてしまうため、苦手分野を徹底的に潰していきましょう。

2-4.情報

「情報」は令和7年度共通テストから始まった新しい分野になります。問題の内容としては、文章や図を読んで考察する問題や、数学Ⅰの分散と似ている問題が出題されます。計算や暗記の要素は少なく、本文が主体の問題が多いのが特徴的です。

また、新課程からの試みであるため大学ごとに配点が大きく異なることも特徴の一つでしょう。令和7年度時点、北海道大学、徳島大学、香川大学の3大学は「情報」を点数化しないことを明言しています。また、「情報」の配点を極端に低く設定している大学も散見されます。そのため、志望校によっては捨て科目にすることも可能ですし、もし、点数が取れなくても志望校を変えて出願することで合格の可能性を広げることができるでしょう。

2-5.国語

医学部受験で共通テストを受験する際に、予想に反した結果なることが多いのが国語です。国語の試験対策が不十分だったため不合格になってしまったという人も少なくありません。

まず、暗記が中心となる古典・漢文を中心に勉強を進めましょう。古典・漢文は国語の中でも対策が可能な分野で、共通テストにおいては満点を狙える分野です。必ず高得点を取れるようになるまで学習を続けましょう。次に現代文ですが、過去問をひたすらに解き、読むスピード高めて古典・漢文に使える時間をなるべく引き延ばすことが大切です。時間をかけずに6割以上の点数を取れるように対策すれば国公立医学部の合格がかなり近づくでしょう。

2-6.地歴公民

新課程で社会科目の名前に変更がありましたが、内容に大きな変更は無いので今使っている教科書を使うことが可能です。また浪人生の場合は、「経過措置過程」に申請することで旧課程の範囲で試験を受けることができます。忘れずに申請しましょう。

地歴公民の効率の良い学習方法は、試験の半年前までには基礎知識を完璧にしておき、そこから共通テスト対策として過去問に取り組む方法です。近年の数学は難化傾向にあり、高得点を取れない可能性があります。社会科目をおろそかにすると点数で大きな差がついてしまいます。基礎問題を完璧にして8割以上の得点を目指しましょう。

「地理探求」は暗記だけでは回答出来ない問題もあるので一つの用語を幅広い視点で捉えるようにすると良いでしょう。しかし、近年、難化傾向にあるため選択する場合は十分な対策をしましょう。

「公共倫理」「公共政治経済」は、地理よりは暗記量が多いものの、日本史や世界史よりも暗記量が少ないため比較的選択しやすい科目でしょう。

「日本史探求」と「世界史探求」は、暗記量が膨大なので早々に対策を始めましょう。世界史では、地図や国ごとに歴史をまとめた表などを利用して効率的に暗記を進めます。日本史は縦軸を中心にひたすら暗記する他ありません。

3.医学部の小論文対策

医学部受験では、多くの大学が小論文を試験項目としています。大学によって出題形式やテーマが大きく異なるので志望校の傾向を予め調査しておく必要があります。出題形式は、文章を読んでそれに対する意見を述べる「文章読解型」やいくつかの資料を読んで問題意識を問う「資料分析型」など様々な形があります。どれも「医師を目指す者としての自覚や本質」を問うものばかりです。

文字数や試験時間は大学ごとで異なっており、大学側が小論文を重要視しているかどうかを確認することが必要です。しかし、小論文の過去問を公開している大学は少ないため対策が難しいです。もし志望校の過去問が手に入らない場合は、医学部専門予備校の情報網を利用して文字数や問題の傾向を把握しましょう。

合格のための解法のポイントは、教科書的な知識の徹底にあります。しかし、知識を自分一人の力で文章にすることはかなり難しいため、プロの第三者視点から意見をもらうことが大切です。

4.医学部の面接対策

医学部受験において、面接は必須項目です。対話能力や思想などから、医師としての適性を測られるため、医師への適性を大きく損なうような解答は気を付けましょう。医師への適性が無いと判断された場合は筆記試験の点数に関わらず不合格となります。

また大学によって個人面接、集団面接など形式が異なり、当日緊張しないためにも色々な面接形式を体験することは受験生にとってアドバンテージです。模擬面接がいつでもできる環境に身を置きましょう。

具体的な対策方法は、まず志望動機や自己PRはよく問われる内容になりますので、考えなくてもプレゼンできるように練習しましょう。他にも、大学ごとに頻出する質問や医学部受験でよく出題される質問がありますから、参考書や赤本、医学部専門予備校のデータベースを活用して対策すると合格が見えてくるでしょう。

5.まとめ

医学部受験の対策には、時間をかければかけるほど結果を出せる分野が多く存在します。しかし、忙しい受験生には全てに時間をかけている暇がありません。いかに効率よく受験に必要な知識やスキルを取得するかが医学部受験合格への道を開きます。本記事を参考に、ぜひ夢の実現へ第一歩を踏み出してください。

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