2023.03.15更新日

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医学部の入試方式などをわかりやすく紹介

受験に臨むにあたって、志望する大学と学部の傾向を押さえた対策が欠かせません。他の学部と違って、医学部には医学部ならではのポイントがあるほか、国立大学と私立大学とでは受験科目などさまざまな点が違います。特に私立大学では、大学ごとの特徴の違いが大きく、それは入試方式にも表れているので注意が必要です。受験するのが国公立大学であれ私立大学であれ、医学部合格を勝ち取るためには、医学部の入試について、難易度や方式の違いなどをよく理解しておく必要があります。

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1.医学部入試の難易度と入試方式

医学部はどの大学も難関です。他学部と比べて大学による難易度の差はそこまで大きくなく、どの大学でも非常に高い合格ラインとなっています。

ただし、国立大学と私立大学では入試に課される科目にも違いがあるほか、大学ごとの違いもあるため、志望する大学の特徴を把握しておかなければなりません。また、国立大学を狙うのか、私立大学を狙うのかによって、勉強のやり方も変わってくるので、国立大学、私立大学それぞれの難易度や入試方式を最初に理解しておきましょう。

1-1.国立大学

国立大学の医学部入試の特徴は、大学入学共通テストの受験が必要なことです。大学入学共通テストとは全国一斉に毎年1月に実施される試験のことで、以前は共通一次試験として、その後は長らく大学入試センター試験として実施されてきた試験に代わって、2021年から実施されています。

センター試験の時代から、国立大学医学部を狙うなら最低85%、難関校を狙うなら90%以上の得点率が必要と言われてきました。これは大学入学共通テストになっても変わりません。

大学入学共通テストの受験が必要だということは、それだけ広範囲の勉強が求められるということです。一般的に、5教科7科目の受験が必要とされています。しかも、大学入学共通テストの点数次第では、二次試験を受験することさえできない学校も多いです。各学校で定める基準以上の得点を確実に取れるようにしておかなければなりません。

二次試験では筆記試験だけでなく、面接や小論文を課す大学が多数です。国立大学の医学部を目指すには、さまざまな科目の基礎をしっかり身につけたうえで広範囲の学習が求められます。

国立大学の医学部の学費は、他学部と同じです。国立大学は学部ごとの学費の差がありません。私立大学の医学部の学費と比べると段違いに安い理由がここにあります。数百万円、時に数千万円もする私立大学の学費と比べて圧倒的に安い国立大学の医学部は、それゆえ非常に多くの受験生に人気です。したがって、入試の難易度も私立大学以上に高くなるのは仕方ありません。

国立大学の医学部は、どの大学でも東京大学の理1以上の難易度となっています。首都圏の人気大学はもちろん、大都市圏から遠く離れた地方の国立大学医学部も同様です。他学部なら東大レベル以上の学力が、医学部の受験生には求められています。

1-2.私立大学

私立大学というと学校推薦の多いイメージがありますが、医学部に関しては国立大学と同じく、一般選抜の募集人員が多いです。

大学入学共通テストを利用する学校も多いのですが、国立大学と違って5教科7科目の全部が試験対象になるわけではありません。国語や社会を課す大学もありますが、英語(外国語としてドイツ語、フランス語、中国語等での受験も可能ですが、ほとんどの受験生は英語を選択するため、以下「英語」で統一します)と数学、理科のみというところも多いです。

また、大学入学共通テストを利用する私立大学には、二次試験は小論文と面接のみで、筆記試験を実施しないところもあります。その分、大学入学共通テストでの点数が重視されるため、国立大学と同程度か、それ以上の得点ができるようにしておかなければなりません。

大学入学共通テストを利用しない私立大学では、各大学が独自に個別試験を実施しています。英語、数学、理科が必須というところがほとんどですが、試験内容は大学ごとに大きく違うのが特徴です。そのため、志望大学の問題傾向を把握することが、私立大学医学部を目指すうえでは欠かせません。

なお、2021年から実施されている大学入学共通テストの影響は、私立大学医学部の入試問題にも影響を与えています。大学入学共通テストはセンター試験よりも思考力や表現力、判断力等を問う問題が多いのが特徴で、その傾向が私立大学医学部の入試試験にも見られるようになったということです。

国立大学と違って、私立大学は各大学が自由に運営しているのが最も大きな特徴です。医学部も例外ではありません。そのため、大学の理念やコンセプトなどに合わせて、医学部のカラーも大学ごとに大きく異なります。それは学生を集める姿勢にも表れており、大学によっては最新の医療設備をアピールポイントにしていたり、大学の立地を売りにしていたりとさまざまです。

他大学より入りやすいことを売りにする私立大学医学部は、現在はもう見られなくなったと言ってよいでしょう。以前は偏差値50未満で入れる私立大学医学部もありましたが、今ではそこまで難易度の低い大学はありません。医学部人気で志願者が増えたため、30年前は偏差値50未満だった大学も、軒並み65以上にアップしています。

国立大学と比べて私立大学医学部のほうが、全体的に見ればまだ難易度が低いと言うことはできるでしょう。しかし、それは全体として見た時です。大学個別で見ると、国立大学以上の難易度の私立大学医学部もあります。たとえば、最難関校の慶應義塾大学医学部は東京大学レベルです。最も難易度の低い大学でも、他学部なら早慶以上のレベルが必要ですので、私立大学だからといって入りやすいことは決してありません。

2.医学部の入試科目について

国立大学医学部では大学入学共通テストの受験が必須です。大学入学共通テストは、国語、英語、社会科、数学、理科と5科目からなりますが、社会科は地理歴史と公民で教科が分かれています。また、数学と理科には「1」と「2」があります。

医学部受験で必須となるのは、国語と英語、数学と理科の2科目、プラス、地理歴史と公民のどちらかなので、全部で5教科7科目です。例外もありますが、ほとんどの国立大学医学部で、大学入学共通テストでは5教科7科目の受験が必要と思ってください。

各科目の詳細を見ていくと、国語は現代文、古文、漢文をすべて含めた1科目で、それ以外の科目は選択式となっています。英語以外の外国語として、先述したようにドイツ語、フランス語、中国語、それに韓国語を選択することが可能ですが、英語以外のすべての受験者数を合計しても、英語の受験者の500分の1にも満たない少数です。

数学は「数学1」と「数学2」があります。数学1は2科目で、「数学Ⅰ」と「数学Ⅰ・数学A」です。「数学2」は、「数学Ⅱ」と「数学Ⅱ・数学B」に加えて、「簿記・会計」と「情報関係基礎」の合計4科目があります。このうち、2科目の選択です。

理科も同じく「理科1」と「理科2」に分かれており、どちらも物理、化学、生物、地学です。ただし、「理科1」は「理科基礎」として新設された「物理基礎」「化学基礎」「生物基礎」「地学基礎」となっています。医学部受験では「理科2」の「物理」「化学」「生物」「地学」から2科目を選択するところが圧倒的多数です。

社会科は「地理歴史」と「公民」の2科目で、「地理歴史」は日本史、世界史、地理がそれぞれ「A」と「B」の計6科目、公民は「現代社会」「政治・経済」「倫理」および「倫理、政治・経済」の計4科目、合わせて10科目です。医学部受験も大学によって必修の科目は違うため、志望する大学の情報を確認しましょう。

国立大学医学部には二次試験もあります。二次試験は日程が前期と後期の2つあり、前期では英語と数学、理科から1~2科目を選んで受験するところが多いです。後期では筆記試験がなく、小論文と面接に大学入学共通テストの結果を加味して選抜する大学があります。

なお、前期日程では理科から1~2科目を選ぶところが多いと述べましたが、例外もあるので注意が必要です。たとえば、九州大学や佐賀大学では物理と化学の2科目を必修科目として定めています。また、大学によっては二次試験に国語があるところもあります。各大学によって違うので、詳細は必ず大学の公的な情報を確認してください。

後期日程で課されることの多い小論文ですが、必ずしも医療分野に関することとは限りません。人文系や自然科学系のテーマが出題されることもあります。医学部志望だからといって興味・関心の幅を狭めるのではなく、広い視野でものを見ることが要求されているわけです。

また、医学部の受験では全大学で面接が実施されます。単に学力だけでなく、その人の人間性や医師としての資質が重視されている証拠です。この辺りは一朝一夕で身につくことではありませんが、面接での基本的な受け答えや一般的なコミュニケーションは日ごろから練習しておくことを心がけるとよいでしょう。

私立大学医学部でも、大学入学共通テストを利用する学校が多くなっています。2021年度はおよそ半数の学校が取り入れましたが、どのように活用するかは大学ごとに異なります。

たとえば、産業医科大学では、国立大学と同じように大学入学共通テストを一次試験として利用しました。国際医療福祉大学や東京医科大学の場合は、国立大学と同じく5教科7科目が課されました。一方、獨協医科大学は、英語、数学2科目、理科2科目の合計5科目です。

私立大学の一般選抜は、多くの大学が3教科4科目を採用しています。数学は1科目、理科は2科目を選択という大学が多いですが、どの科目を選べるかは大学ごとに違っています。

3.医学部の入試問題について

国立大学医学部の偏差値は60台後半から70以上です。難関校ともなると、大学共通テストで90%以上を確実に得点できなければなりません。基礎をしっかり身につけているのは前提として、二次試験では思考力や判断力など、より本質的なことを問われます。

私立大学は大学ごとに入試問題もさまざまです。ただし、先述したように、昔と比べてどの大学も難易度がアップしているため、どこの大学が入りやすいということはありません。国立大学と比べて試験科目が少ないため、よりシビアな戦いになることを覚悟しておいたほうがよいでしょう。

私立大学も、慶應義塾大学などの最難関医学部となると、最難関の国立大学医学部と同じく、単に知識を問うだけの問題ではなく、思考力や判断力など本質的な能力を問う問題が多くなります。

その次に位置する難関校、たとえば東京医科大学や順天堂大学などは、問題自体は基本を問うものが多いですが、とにかく大量に出題される傾向があります。基本をミスなく確実に、しかも、スピーディーに処理することのできる能力が問われるということです。

地方大学は大学ごとに形式がまったく異なります。マーク式の大学もあれば記述式のところもあり、同じ大学でも年度ごとに形式が変わることも珍しくありません。出題範囲も大学によって相当なバラつきがあるため、志望校に合わせた対策が欠かせないでしょう。何校も受験するのであれば、大学ごとに個別の過去問対策が必要です。

まとめ

医学部の人気が高まったこともあり、昔は難易度が低いとされてきた私立大学医学部も軒並み難易度がアップしています。どこの大学を目指すにせよ、非常に高い学力が求められるのは間違いないでしょう。

大学医学部の入試方式は、国立大学と私立大学で大きく違います。国立大学医学部を受験するには、一次試験として大学入学共通テストの受験が必須です。しかも、受験科目が5教科7科目と多いため、広範囲の準備が求められます。一方、私立大学医学部も大学入学共通テストを利用する大学が増えていますが、受験科目は英語、数学、理科2科目というところが多いです。いずれにせよ、大学ごとに出題傾向が大きく異なるので、志望する大学の過去問対策が欠かせません。

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