2023.04.13更新日

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医学部の学費を抑える方法を紹介

医学部受験を目指して頑張っている受験生の方の中には、私立大学の医学部は、かなり学費が高いというイメージをお持ちの方が多いのではないでしょうか?学費の支払いが厳しいから国公立を目指したり、医学部を諦めてしまう方もいるでしょう。しかし、医師不足が問題となっている昨今では、医学部の学費を抑える方法がいくつか存在します。この記事では、国公立と私立の学費の違いを比較しつつ、医学部受験を諦めない為に、活用すべき制度をいくつかご紹介します。

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1.国公立医学部と私立医学部の学費の違いは?

どの学部よりも学費がかかるとされる医学部ですが、そもそも実際の医学部の学費相場はどれくらいなのでしょうか。

まず、国公立大学の医学部の場合ですが、国立大学に関しては一律で「標準額」が決められており、総額3,496,800円(入学金 282,000円+年間授業料が535,800円×6年間)となっています。千葉大学や東京医科歯科大学など一部の大学では授業料が高く642,960円ですが、その他の国立大学は標準額に合わせて学費を設定しています。また、公立大学は、入学金や授業料が大学によって異なり、入学金や施設設備費に関しては大学が指定した地域の住民であるか否かによって金額が異なる場合があります。公立大学は、国立大学の「標準額」を参考にしている大学が多いので、指定地域の住人であれば国立大学と学費の差はあまりありません。

私立大学の場合は、大学によって学費が大きく異なり、数千万円の差があります。参考までに、私立大学の医学部で一番学費が安いとされているのは、千葉県の国際医療福祉大学では初年度納入金が4,500,000円、6年間の総額が18,500,000円です。一番高いと言われているのは、岡山県の川崎医科大学で、初年度納入金が10,500,000円、6年間の総額が45,500,000円ですので、2,500万円以上も学費に差があることがわかります。

私立大学医学部と国公立大学では、平均的な学費で5倍以上の差がありますので、やはり金銭的な面でハードルが高くなっているのは事実と言えるでしょう。

学費以外にも、教科書を新品で全て揃える場合、6年間で約10万円、一人暮らしをする場合は、家賃と生活費合わせて6年間で約720万円(月10万円として)という費用もかかります。医師になる為には、5年生で臨床実習を受ける為の共用試験費用が25,000円も必要です。さらに、医師国家資格の対策用講座を受けると20~30万円、試験受験料と合格後の医師登録費用が合わせて約7.5万円などの支払いもあります。こういった費用がかかることを考えると、なるべく学費だけでも安く抑えておきたいものです。

2.医学部の学費を抑える方法を紹介

家庭の事情などで医学部の学費を支払う余裕がない場合には、奨学金制度を利用しましょう。奨学金には、「貸与型」と「給付型」があります。「貸与型」は、返済の義務があり、利息を含めた金額を卒業後、最高20年掛けて返済しなくてはなりません。「給付型」は、返済の義務はありませんが、対象となる基準や選考が厳しい場合が多くなっています。その為、給付型に申請し通らなかった場合に貸与型を申請すると良いでしょう。

一般的に広く知られている奨学金と言えば、日本学生支援機構が実施する奨学金制度で、学生の2人に1人が利用しています。給付型の利用条件は、これまでの「住民税の非課税世帯」から2020年に改定され、「年収の低い家庭」まで対象が拡大されました。具体的な金額については、家族構成などによって異なります。

また、地域の医療発展の為に、地方自治体で独自に奨学金制度を取り入れているケースがあります。いわゆる「地域枠」と呼ばれる制度で、卒業後に自治体の指定する病院や医療機関に勤務することを条件として返還が免除されます。毎月の給付金額が10万円~30万円と公的機関の奨学金よりも高額なことや、他の奨学金との併用も許可されているのが最大の魅力です。詳細については、「地域枠」の項で説明致します。

公的機関や自治体の他にも、奨学金の中には医学部に特化したものもあります。例えば、民間のある団体の奨学金制度では、卒業後に指定された病院で勤務することを条件に、最大6年間、月額8万円を貸与するというものがあります。貸与条件には、団体関連の病院での実習や、団体との定期的な面談などもあります。この制度では、卒業後に何年その病院で働くかによって、返済が免除されます。

その他にも病院や医療機関が独自に取り入れている奨学金制度もあります。在籍大学の指定はほぼないことが多いのですが、当然卒業後は支援を受けた病院や医療機関で勤務することが条件となっています。

3.地域枠

医学部の学費を抑えるには、学費免除と奨学金を組み合わせて活用するのが一般的です。その中でも、自治体と大学が連携して作り上げた「地域枠」という制度が狙い目です。「地域枠」は、へき地の医師不足が深刻化を打破するために大学が設けている特別枠です。こちらは「貸与型」の奨学金で返還すらも免除される奨学金制度です。

「地域枠」で出願した場合、通常よりも合格しやすいと言われていますので、「地域医療」に興味がある人にとっては、最適な制度です。「地域枠」で出願出来る条件や貸与条件は、大学によって異なり、年度によって変更箇所が出ることもありますので、事前の念入りな確認は必要になります。

金銭面での援助に関しては、「地域枠」は大変ありがたい制度です。しかし、覚えておかなくてはならないのは、卒業後9年間は、勤務先や所属する科が自治体など他者によって決められてしまうことです。医学部に入学後、机上の知識だけではなく、実習や先輩、先生から話を聞いたりすることで、想像を超える医療現場の実態を知ることになります。しかし、6年間の在学期間中に進路を変更したくなったとしても、自分の意志だけでは勤務先や勤務科を変えることは出来ません。それが「地域枠」という制度です。

また、もしこの「地域枠」の出願条件を守ることが出来なかった時には、貸与された奨学金の返還義務が発生します。国公立大学であれば、6年間で約350万円程の学費なので、なんとか返還は可能ですが、私立大学に関しては、高額な医師の給与でも返還にはかなりの時間を要するでしょう。

学費のサポートをしてもらうことができ、受験にも合格しやすい「地域枠」。しかし、医師として柔軟なキャリア設計をしていきたい場合にはこの制度はあまり向いていないということを理解しておきましょう。「地域枠」と奨学金の有無や額をまとめたサイトもありますのでまずは詳細を確認し、その上でどうしても医師になりたいと思うのであれば、「地域枠」を利用しての受験を目指しましょう。

4.高等教育無償化制度

正式には、「高等教育の修学支援新制度」と言い、高校生や大学生の学ぶ意欲を支援する制度です。国や自治体が定める条件を満たしている学校が対象で、実践的教育と学問のバランスが良いことなどが基準とされています。対象の学校は全国で3,000校程あり、多くの有名校が許可を得ています。

主な支援の内容は、「授業料等減免」と「給付型奨学金」です。この2つの支援をセットにすることで、学生が学業に専念出来る環境を整えるのが目的とされています。

「授業料等減免」は、入学金や授業料を減免し、学生の負担を減らす施策です。経済的に不安を抱える家庭の為に、入学金や授業料といったまとまった金額を支援する目的があります。支援の金額は、世帯収入などによって異なりますが、年間の上限額が以下のように決まっています。

国公立の場合、大学は入学金:約28万円、授業料:約54万円、短期大学は入学金:約17万円、授業料:約39万円、高等専門学校は入学金:約8万円、授業料:約23万円、専門学校は入学金:約7万円、授業料:約17万円となっています。

私立の場合、大学は入学金:約26万円、授業料:約70万円、短期大学は入学金:約25万円、授業料:約62万円、高等専門学校は入学金:約13万円。授業料:約70万円、専門学校は入学金:約16万円、授業料:約59万円となっています。

「給付型奨学金」は、学生の生活費を支援する施策です。生活費を稼ぐ為に、学生がアルバイトに明け暮れ、学業に身が入らないという事態を避ける目的があります。給付額は、自宅生か自宅外生かなどによって異なりますが、年間の上限額が以下のように決まっています。

国公立の場合、大学・短期大学・専門学校は、自宅生約35万円、自宅外生約80万円、高等専門学校は、自宅生約21万円、自宅外生:約41万円となっています。

私立の場合、大学・短期大学・専門学校は、自宅生約46万円、自宅外生約91万円、高等専門学校は、自宅生約32万円、自宅外生:約52万円となっています。

高等教育無償化制度は、全ての学生が対象となる訳ではなく、資格を得るには条件が定められています。

1つ目は、世帯年収、資産が基準以下であることです。資産は現金や有価証券(不動産は含みません。)の合計額で考え、生計を維持している人が1名の場合は1,250万円、2名の場合は2,000万円未満という基準があります。世帯年収の基準は、家族構成によって細かく分けられており、片親のみが働いていて年収が約220万以下で子供が一人の場合は満額が支給されます。

2つ目は、学習意欲があり、一定の学力基準を満たしていることです。例えば、高校3年生であれは「高校2年次までの評価平均値が3.5以上」であることが基準となります。しかし、その基準を満たしていなくても面接やレポートで学習意欲があることを証明出来れば審査に通る可能性もあります。大学生等の場合には、「修得単位数が標準以上であり、学修計画書で意欲や目的が確認できた場合」、「平均成績が上位1/2以上」が基準とされています。

申し込み方法や申し込み期間は学校毎に異なりますので、申請先の学校に確認しましょう。

5.大学の特待生制度

大学の特待制度とは、成績優秀で将来有望な生徒を「特待生」とし学費の免除や減免、支給を行う制度のことを指します。主に学費が高額な私立大学の医学部受験の際に、この制度を利用するご家庭が多いようです。

この制度を利用するには、入試結果の成績上位者となることが条件とされる場合が多く、入学前に認定が完了するので入学後の資金計画が立てやすいというメリットがあります。

奨学金は、経済的な理由で医学部での就学が難しい学生を支援する制度です。一方、特待制度は、入学試験の成績が優秀だった人や、スポーツ、文化活動などで素晴らしい成績を残した人、在学中の学業態度が優秀だった人が優遇されます。その為、家庭の経済状況に関係なく、あくまで成績優秀な学生かどうかが認定の基準となります。

学費の減免や免除、支給の方法は、大学によって大きく異なりますが、入学金や授業料といった学費を半分に減額、又は全額免除となる場合や、月に数十万円が給付されるケースもあります。

例として、都内の某有名大学の医学部の特待生制度の内容を見てみると、「一般入学での試験成績上位者10名に、各学年ごとに総額800万円(年間200万円)を給付する」とあります。「その後、各学年で良い成績を修めていれば、さらに第5,6学年で100万円を支給する」という内容になっています。この大学の場合、年間の学費が約360万円ですので、年間200万円の給付を受けられた場合、支払うべき差額の学費は私立理系の一般学部とほぼ同じレベルまで減額されます。経済的負担がかなり軽くなることがわかります。

ただし、全ての大学がこの特待制度を設けている訳ではありませんので、事前に志望校にもこの制度があるか確認が必要です。

6.まとめ

医学部受験を目指す方々の中には、入学金や学費といった経済的な面が気になり、受験勉強に集中出来ない方もいるのではないでしょうか?しかし、ここまでご紹介したように、国や自治体、大学がバックアップしてくれる体制は整っています。

まずは、自分に申請可能な奨学金制度や特待制度があるか調べてみましょう。自分に適した制度が見つかれば、心の負担を少し減らせるかもしれませんので、積極的に活用していきましょう。

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