2022.08.26更新日

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医学部の奨学金とは?自身に合った奨学金制度を見つけよう

医学部進学を希望しているものの、学費の高さがネックになっているご家庭は多いのではないでしょうか。そんな時に頼りになるのが奨学金制度です。奨学金と言えば日本学生支援機構が有名ですが、それ以外にも自治体や大学などが独自に設定しているものがあります。

奨学金を利用することで学費の負担を軽減できるわけですから、利用できるならば最大限利用したいところです。ただし、奨学金ごとにさまざまな規定や条件がありますので、利用したい奨学金がある場合は前もって細部まで調べておきましょう。

医学部の奨学金とは?自身に合った奨学金制度を見つけよう

1.医学部の奨学金制度とは?

経済的な理由で修学が難しい学生に対し、学費の一部や全部を貸与、もしくは給付する制度が奨学金という制度です。奨学金の種類を大別すると、「貸与型」と「給付型」に分かれます。

1-1.貸与型

貸与型の奨学金は、将来、返済しなければならない義務があります。奨学金によって利息の有無に違いはありますが、卒業後、数年から20年にわたって返済していかなければならないのは共通です。

1-2.給付型

給付型の奨学金とは文字どおり給付されるもの、つまり、もらいっぱなしで返済する必要のない奨学金を指します。そのため、貸与型よりも希望者が多いです。

希望者が多数になる分、申請できる基準や選考が厳しくなると考えられます。申請すれば必ず利用できるわけではありませんが、返済の必要がないのは魅力です。まずは給付型の奨学金を申請し、利用できない場合は貸与型を検討するという順番がよいでしょう。

2.医学部で利用できる奨学金を紹介

奨学金が利用できるのは医学部に限りませんが、医学部の場合は通学期間が6年と長く、特に私立大学ならば、他学部よりも高額な学費が発生します。そのため、医学部ならではの奨学金もあります。

2-1.公的な奨学金制度

ここでいう公的な奨学金制度とは、主に国公立大学と、文部科学省が管轄する独立行政法人、日本学生支援機構が実施する制度のことです。

2-2.国公立大学の学費減免制度

国公立大学のほとんどでは、家庭の事情等で学費を支払うことが難しい学生のために、学費減免制度を設けています。文字どおり、支払うべき学費が減額される、もしくは支払いが免除される制度です。つまり、奨学金として金銭を受け取るのではなく、出費を抑えるための制度になります。

なお、家庭の事情だけでなく、地震や豪雨などの被災者を対象とした学費減免も、ほとんどの国公立大学で実施されています。
減免制度ではなく、自校で独自に実施する奨学金制度を設ける国公立大学も少なくありません。事故や災害による家計急変者を支援する制度や、大学院や研究機関に進学するための支援制度もあります。

奨学金の金額は大学によってそれぞれですが、国公立大学の場合、医学部の学費は他学部と同じです。入学金として20万円程度、年間授業料として50~60万円という金額は、たとえ6年通学する必要があるとしても、なんとか対応できるで金額ではないでしょうか。
とはいえ、その学費を工面することも難しいケースもあるはずです。そこで、学費がまったくかからない進学先として、防衛医科大学校があります。

防衛医科大学校は防衛省が1973年に設立した省庁大学校で、正確には国公立大学ではありません。入学後は特別職国家公務員になるため、学生という身分とも違います。学生ではなく公務員なので、入学金や授業料の支払いはありませんし、在籍中は毎月給与が発生するほか、年2回のボーナスもあります。費用の負担ゼロで、医師を目指せるわけです。

ただし、防衛医科大学校は、将来の自衛官を育成するための組織です。そのため、卒業後は自由に進路を選べるわけではなく、一定期間(9年間)、自衛官としての勤務が待っています。拒否することもできますが、その場合は学費に相当する経費を返還しなければなりません。

2-3.日本学生支援機構奨学金

公的な奨学金制度というと、日本学生支援機構の実施する奨学金をイメージする人が多いはずです。実際、最も多くの人に利用されている奨学金であり、学生の3人に1人以上が利用しています。

日本学生支援機構の奨学金には、給付型と貸与型があります。給付型は、以前は生活保護世帯などの住民税の非課税世帯の学生のみが対象でしたが、新制度の発足に伴い、2020年から対象が拡大されました。以前同様、住民税の非課税世帯に加えて、「それに準ずる世帯」の学生が給付型の奨学金を利用できます。

「それに準ずる世帯」とは、要は、住民税は課税されるものの、非課税世帯と同じぐらい年収の低い世帯のことです。具体的な金額は家族構成によって違いますが、目安として380万円未満の世帯だと利用できるチャンスがあります。

なお、給付型の奨学金を利用できる場合、年間の授業料だけでなく、入学金も減額・免除されるので、費用を気にすることなく、勉学に励むことができるでしょう。
日本学生支援機構の貸与型の奨学金は、さらに「第一種」と「第二種」の2種類に分かれます。第一種は無利子、第二種は上限年3%の有利子となっているのが大きな違いです。

第一種の奨学金を利用するには、家計と本人の学力に基準があるため、それを満たさなければなりません。家計は、4人世帯の場合で年収747万円以下が基準です。学力に関しては、高校の学校長の推薦があり、本人の成績が評定平均3.5以上の場合に基準を満たします。

第一種の基準を満たさない場合でも、第二種なら利用できる可能性は高いです。第一種と同様に家計と学力の基準はありますが、どちらも第一種ほど厳しくありません。家計は4人世帯の場合で年収1,096万円以下、学力は平均以上の成績で申請できます。

2-4.地方自治体の奨学金制度

医療の振興のために、各地方自治体で独自に奨学金制度を実施しているところがあります。ただし、その自治体の医療振興を目的としているため、返還を免除してもらいたいならば、医学部卒業後に、その自治体の指定する病院や医療機関で一定期間勤務する必要があるところがほとんどです。

返還を免除してもらうのに条件があるのがデメリットですが、毎月の金額が10万円~30万円と、公的な奨学金制度よりも多額な点が大きな魅力です。別の奨学金との併用も可能ですので、やり方によっては、私立大学医学部の高額な学費を賄うこともできます。ただし、奨学金の支給可否の決定が入学後になることも多いため、これを当てにして資金計画を立てることにはリスクがあります。

たとえば、東京都では「東京都地域医療奨学金」という、都内在住者および都内の高校の生徒を対象とした奨学金制度があり、いくつかの大学で設定されています。例えば、「東京都地域医療奨学金」制度を利用して杏林大学に合格すると、入学金と授業料6年間分、加えて毎月10万円の生活費が貸与される制度です。卒業後、東京都指定の病院や医療機関にて9年間勤務することで、全額返還が免除されます。

ほかの道府県が実施する奨学金のなかにも、私大医学部の学費にも対応できる、額の大きな奨学金があります。たとえば、静岡県の「医学修学研修資金」という医学部生向けの奨学金です。募集人員は若干名ですが、月額20万円、年間240万円、6年間貸与の場合は計1,440万円を受給できます。ただし、こちらも卒業後は県指定の医療機関に9年間勤務することが条件です。

それ以外の自治体にも、医学部生を対象とした奨学金制度を実施しているところは少なくありません。ほとんどの場合、卒業後の一定期間は自治体指定の医療機関に勤務する必要はありますが、医学部進学を希望する方にとって大きな力になることは確かです。お住まいの自治体および進学希望の大学のある自治体に、奨学金制度があるかどうかを調べてみる価値はあります。

2-5.民間の奨学金制度

公的機関や自治体以外に、民間の組織が独自に実施する医学生向けの奨学金制度があります。

たとえば、全日本民主医療機関連合会(民医連)では、卒業後、同会指定の病院にて勤務することを希望する学生を対象に、月額8万円を最大6年間貸与する制度を実施しています。民医連の実施する定期的な面談と毎月のミーティング、また、民医連の病院での実習を受けることなどが条件です。
この制度では、卒業後の勤務年数によって返済が免除されます。同会離脱の場合でも、一括返済なら無利子です。

病院や医療機関が独自に実施する奨学金制度もあります。病院が実施する以上、卒業後はその病院に勤務することが条件ですが、在籍大学の制限はあまりなく、金額も比較的大きいため、学費の負担は大きく軽減できるでしょう。

たとえば、徳洲会グループでは月額15万円の奨学金制度があります。初期研修の終了後、貸与を受けていた期間の3分の2に当たる期間をグループ内の病院で勤務するなどの条件をクリアすることで、返済を免除してもらうことも可能です。
また、兵庫県の神崎総合病院では、月額20万円の貸与を行う奨学金制度があります。卒業後は同病院にて病院指定の診療科に勤務することが条件ですが、月額20万円という金額は医学部生にとってかなり大きな支援です。

2-6.大学独自の奨学金制度

大学が独自で実施する奨学金制度もあります。大学ごとに金額は違い、給付条件も異なりますが、返済不要の給付型の奨学金が多いのが特徴です。ただし、金額は他の奨学金より少ないものが多いため、大学の奨学金だけで医学部の学費を賄うことは難しい場合があります。

たとえば日本大学の場合、医学部生を対象に、学業と人物が優れた学生に奨学金を用意しています。医学部同窓会就学奨学制度や医学部特定医療奨学金、医学部土岐奨学金や医学部永澤奨学金などです。いずれも月額5万円や年額20万円と少額ですが、返済不要の給付型なのでデメリットはありません。
他の大学医学部でも、独自に学生の経済的負担を軽減する目的で奨学金制度を実施しています。以下にいくつか例を挙げましょう。

栃木県の自治医科大学医学部では、6年間の学費に相当する約2,200万円が入学者全員に貸与されます。卒業後の9年間、大学の指定する公立病院に勤務すると、全額返還免除です。僻地医療や地域医療の充実が目的の大学ですので、研修後の4年半は僻地での勤務が必要になりますが、実質、学費の負担なしに医師を目指すことができます。

北九州市の産業医科大学でも、入学者全員を対象に、総額2,000万円近い修学資金が貸与されます。ただし、私立大学ですので、6年間の学費総額は3,000万円と高額です。したがって、資金貸与を受けても、約1,100万円(国立大学医学部の約3倍)の学費を負担することになります。また、貸与額を免除してもらうには、卒業後9年以上の指定医療機関での勤務が必要です。

なお、自治医科大学と産業医科大学は両校とも私立大学ですが、国や地方自治体の助成金によって運営されているので、国公立大学に近い存在と言えるでしょう。しかし、一般的な私立大学のなかにも、独自に奨学金制度を実施する大学はあります。

たとえば、慶應義塾大学医学部では毎年10名ほどに、「人材育成特別事業奨学金」として年間200万円、1年次から4年次までの4年間の合計800万円を給付しています。

国際医療福祉大学には「医学部特待奨学生奨学金」があります。こちらは毎年50名ほどが対象で、入学金が免除され、1年次に250万円、2年次以降230万円が毎年給付される制度です。

また、北里大学医学部にも特別待遇奨学生制度があり、若干名ですが、入学金と授業料合わせて3,890万円が全額免除になります。

このように、誰でも利用できるわけではありませんが、私立大学のなかにも学費の負担を大幅に軽減できる奨学金制度を実施しているところは少なくありません。

3.まとめ

医学部で利用できる奨学金には、大きく分けると、返還の必要のない給付型と返還義務のある貸与型の2種類があります。奨学金の実施団体によって、他の制度との併用可否や、貸与の場合の利息の有無など、規定が異なることに注意が必要です。また、返還の必要のない給付型の奨学金の場合は、卒業後の進路選択の自由が制限されることにも注意しましょう。いずれにせよ、利用したい奨学金について、事前にしっかりチェックしておくことが大切です。

(情報は2022年8月現在。)

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