2023.01.30更新日

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【医学部志望必見】多様化する推薦合格の実態とは?

大学の各学部のなかでも、医学部合格は最難関のイメージが強いのではないでしょうか。実際、合格するためには高い学力が求められますし、トップレベルの受験生でなければ合格するのは困難です。それほど難しい医学部受験ですから、なかには一般入試ではなく、推薦入試、AO入試での合格を狙う人も少なくないのではないでしょうか。そこで、医学部の推薦入試を検討している方のために、推薦入試の種類、出願条件、試験内容などについて確認していきましょう。

ここから推薦入試の具体的な種類についてお伝えしますが、その前に1点知っておくべきことがあります。それは、2021年度から名称が「推薦入試」から変更されています。文部科学省が入試区分を変更したことに伴って、従来「推薦入試」と呼ばれていた入試区分は、現在では「学校推薦型選抜」となっています。また、従来のAO入試は「総合型選抜」という名称に変更されました。一般入試も「一般選抜」に変更されました。

従来の推薦入試にあたる学校推薦型選抜ですが、この入試方式は大きく分けて3種類あります。指定校推薦、公募推薦、それに地域枠推薦です。それらを詳しく説明した後、総合型選抜(AO入試)とその他の入試方式を見ていきましょう。

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1.推薦入試の種類

大学の一般入試は、国公立大学であれ、私立大学であれ、1~2月に行われます。推薦入試は、それよりずっと早く実施されるのが大きな特徴です。大学によって具体的な日程は違いますが、だいたい9月~11月にかけて実施されています。そのため、推薦入試は一般入試よりも合格発表が早いです。

なお、推薦入試の特徴として、一般入試ほど学力評価の比重が大きくないことも挙げられます。それゆえ、一般入試より推薦入試のほうが簡単だというイメージもあるようですが、そうとは限りません。誰でも受けることのできる一般入試と違って、推薦入試には募集枠があります。その限られた枠を大勢の推薦希望者と競うことになるので、推薦入試は受験すること自体に高いハードルがあります。また、一般入試とは異なる観点に重きを置いた評価がなされるため、推薦入試に臨むには、一般入試とは違った対策が必要になります。したがって、推薦入試のほうが簡単であるとは一概に言えないのです。

1-1-1.指定校推薦

学校推薦型選抜のなかでも、指定校推薦とは高校ごとに推薦できる人数が決められた推薦方式です。過去の入学実績などに照らして、大学側が特定の高校に推薦枠を決定します。

指定校推薦を受けるには学校長の推薦が必要ですが、その推薦の評価基準となるのが高校時代の学業成績です。学業成績の判定が4.3以上の生徒には「A」という成績概評がなされ国公立大学の推薦では成績概評A以上を求める大学が多いです。

なお、学校ごとに推薦枠に限りがあるため、学業成績の基準を満たしていれば誰でも指定校推薦を受けられるわけではありません。基準を満たす他の希望者と争って、学内の選考を通過することが第一関門です。それゆえハードルは高いですが、学内選考を通過できさえすれば合格にぐっと近づきます。ただし、志望する大学の指定校でなければ利用できない入試方式ですので、まずはご自身の通う高校に確認してください。

1-1-2.公募推薦

指定校推薦とは違って、高校の推薦枠とは関係なしに出願できるのが公募推薦です。大学の指定する募集要項と高校の推薦基準をクリアしていれば、自分の高校が大学から推薦枠の指定がなくても出願できます。ただし、学校長の推薦は必要です。

また、一般的な公募推薦では学業成績が重視されますが、そうではない「特別推薦」という公募推薦もあります。スポーツや部活動、学外の活動などが評価の対象です。評価方法は学科試験、小論文、面接によるところが一般的ですが、大学によっては大学入学共通テストの受験が必要なところもあります。

なお、推薦入試というと現役生のみが対象というイメージが強いですが、私立大学の一部では、浪人生も公募推薦での受験が可能としているところもあります。

1-1-3.地域枠推薦

地域枠推薦は、大学卒業後、医師の不足する地域で医療に従事することが条件となっています。僻地や離島などで数年間働く必要があるほか、受験生本人やその親族がそこの出身であることなど、条件はさまざまです。

将来の進路を限定してしまうのはデメリットに感じられるかもしれません。しかし地域枠推薦を設ける一部の大学では、在学中の学費の免除や奨学金貸与の制度が設けてあります。

そのほか、附属高校からの学内推薦という形で進学する方法もあります。ただし、内部進学の多い学校でも、医学部に進学できる生徒はごく少数です。トップレベルの成績が必須となり、学業成績だけでなく、調査書や面接によって候補者が厳選されます。

1-2.帰国子女枠

医学部によっては「卒業生子女枠」や「校友子女枠」という推薦枠を設けているところもあります。これは、2親等内にその医学部の在学生や卒業生がいる受験生を対象とした推薦入試です。大学の理念を理解した医療者が親族にいる受験生なら、他の受験生よりも母校愛を育み、伝統を継承していってくれるだろうという期待が込められています。

卒業生子女枠での推薦を実施する大学は多くありません。東京女子医科大学、日本大学、東邦大学、金沢医科大学の4校に限られます。親族がこれらの大学の出身で、ご自身の志望校であれば、検討してみる価値はあるでしょう。適性検査や面接はありますが、高校の評定平均に関係なく応募できます。

1-3.総合型選抜

続いて、従来のAO入試である総合型選抜について見ていきましょう。「推薦」という文言は見当たりませんが、自己推薦でチャレンジできるので、推薦入試の一種と考えてかまいません。この方式の大きな特徴は、学力よりも受験生の将来性や人間性が重視される点です。この方式を採用している医学部は少数ですので注意しましょう。

総合型選抜のある大学では、9月1日以降に募集を開始するところが大半です。とはいえ、試験日には差があり、年内に合格が決まるところもあれば、発表が年明けになるところもあります。また、事前の説明会や面談への参加が必須の場合も少なくないので、総合型選抜で受験したいのであれば、志望校が対応しているのか、対応している場合は募集要項の詳細を早めにチェックしておきましょう。

それでは先ほど述べた、「総合型選抜では学力より将来性や人間性が重視される」とはいったい何が求められるのでしょう。具体的には、課外活動や、部活動、英検やTOEFL、TOEICなどで好成績を修めていると、高く評価されやすいです。自己推薦なので、高校の学校長の推薦状は必要なく、代わりに自己推薦書や評価書を提出します。加えて、学習意欲やコミュニケーション能力、医師としてふさわしい資質を備えているかを判断するために、小論文や面接、グループディスカッションなどを課す大学が多いです。

なお、合格後は大学側の許可がない限り、入学を辞退して他の大学に入学することはできません。総合型選抜と一般選抜の併願自体はできますが、その点には注意しておきましょう。

1-4.その他の推薦入試

上記の推薦入試とは別に、万国共通の大学入学資格である「国際バカロレア資格(International Baccalaureate、略称IB)」を活用した入試も増えています。国公立大学でも私立大学でも、医学部の多くで導入されつつあるので、今後は今以上に募集人数が増え、利用できる機会も広がっていくでしょう。

具体的にどのように選抜されるかは大学ごとに異なりますが、IBスコアと指定の履修科目の成績、英語資格などを問われることが多いです。大学入学共通テストを受けさせたり、個別に学力試験を実施したりする大学もあります。

2.推薦入試の出願条件

上記のように推薦入試にはいくつもの種類がありますが、どの入試に自分が出願できるか、よくわからないという方もいることでしょう。そこで、医学部の推薦入試に出願できる一般的な条件を確認しておきましょう。ただし、詳細は各大学で異なるため、実際に出願を検討されているのなら、必ず志望大学の公式ホームページ等をご確認してください。

医学部の推薦入試で重要なのが、高校時代の評定平均です。高校時代の学業成績をすべて合計した平均値のことで、現役生は3年の1学期まで、卒業生は3年間すべての成績を平均します。他学部の推薦入試でも重視される評定平均ですが、医学部では出願条件が厳しく、多くの国公立大学では推薦を受けるには4.3以上が必要です。私立大学では3.5以上から推薦が受けられるところもあります。実際に求められる評定平均は大学ごとに異なるので、高校の教師などに確認してください。

推薦入試の対象として、現役生であることを条件にしている大学もあれば、現役でなくても推薦が受けられる大学もあります。既卒で出願可能な大学でも、多くは1浪までです。なかには2浪までOKというところもあるので、浪人生で推薦入試を検討している場合は、志望校の募集要項をチェックしてみましょう。

一部の大学では、各種検定で好成績を挙げていることを出願条件にしています。たとえば、東京大学では全国高等学校化学グランプリ、国際物理オリンピック、全国物理コンテスト、国際生物学オリンピックなどで高い成績を修めたことを証明できる資料、および、IELTSかTOEFL iBTで一定以上のスコアを記録したことを証明する資料のいずれか1点を提出できることが条件です。京都大学でも、国際化学オリンピックの世界大会への出場歴を出願条件としています。

3.推薦入試の試験内容

個々の試験内容は大学ごとに異なりますが、多くの大学で行われる試験形式についてチェックしておきましょう。

国公立大学医学部の多くは大学入学共通テストを合否として採用しています。ただし、活用方法は大学ごとに違うため、志望校の詳細は各々確認してください。一般的には、「足切り」となる点数を第一段階選抜に活用している大学があります。大学入学共通テストで一定以上の得点をクリアした受験生だけが、次の個別試験に進むことができるという内容です。

大学入学共通テストを足切りの点数として利用する大学でも、推薦入試の出願締め切りは大学入学共通テストより早いことに注意してください。つまり、せっかく出願していても、大学入学共通テストで基準以上の得点ができないため、その時点で推薦入試は不合格になってしまいます。入試要項を注意深く確認しましょう。

足切りではなく、大学入学共通テストの結果を合否の最終判断に採用している大学もあります。また、直接合否の判定には利用しないものの、大学入学共通テストの受験を推薦入試の条件と定める大学も一部あります。

いずれにせよ、大学入学共通テストではなるべく高得点を記録しておくほうが有利です。また、推薦入試に失敗した時のことも考えて、大学入学共通テスト対策にも力を入れておきましょう。

推薦入試に小論文を課す大学は、国公立大学、私立大学にかかわらず多いです。医学部入試の場合、医療系のテーマが選ばれることも多く、時事的な内容が問われることもあります。一方、必ずしも医療系のテーマが出題されるとも限らないので、幅広い分野に日ごろから関心を抱き、自分の意見をまとめておきましょう。

小論文以上に医学部の推薦入試で採用されているのが、面接試験です。ほぼすべての大学で課されると思って間違いないでしょう。そもそも、医学部は医師を養成するための学部です。そのため、学生には医師としてふさわしい資質を備えていることが求められます。それは学科試験では測れないため、面接によって直接判断されるわけです。大学ごとに面接で問われる内容などある程度の傾向がありますので、過去の受験生の体験を参考にしましょう。

まとめ

医学部の推薦入試にはさまざまな種類があり、大学ごとに応募条件が異なります。なかには現役生でなくても推薦が受けられる大学もありますので、浪人生もあきらめずにより合格に知被ける方法を探しましょう。いずれにせよ、一般入試とは異なる対策が必要ですので、志望校の募集要項をチェックして、早めに準備を始めるといいですね。

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