2023.04.13更新日

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医学部受験後期入試の対策方法やポイントを解説

医学部受験には、1月から2月終わりごろに行われる前期試験と、3月始めごろに行われる後期試験と試験が2回あるのはご存じでしょうか? 後期試験は日程が遅く、実施している大学も前期試験に比べて少ないためなかなか耳にすることがなく、合格者の多くが前期試験から出るので後期試験の実態を詳しく知っている学生は少ないようです。

そこで今回、後期試験を徹底的にピックアップ。合格の可能性を上げる後期試験の実態や、後期試験の攻略方法などを解説します。受験を有利に進める情報を集めて、ぜひ合格の糧にしてください。

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1.後期入試の特徴 【国公立大学医学部】

そもそも、医学部の後期入試というのはいわゆる追試験的な意味合いを持ちます。前期試験が本番とも言うことができ、前期試験で合格点を取ることができなかった人や、病気などの何らかの事情で前期試験を受けられなかった学生が再び受けられるテストです。学生としては前期で実力を発揮できなかったものの、後期入試でそれを取り返せるチャンスとなります。大学側としては、優秀な学生を見逃すことなく受け入れたり、定員割れを起こさなかったりするために役立つ制度です。このように、学生と大学の双方にとってメリットのある制度なのです。特に国公立大学は、地域によって志願率が低いところもありますので、後期入試を導入することによって学生を集めやすいという状況も見られます。

国公立大学では後期入試を3月に実施する傾向にあります。試験の難度としては、どの大学でも前期入試とほぼ変わらないレベルとなっています。あくまでも何らかの事情で前期入試に落ちてしまった学生への救済という目的もあるので、レベルを下げてより多くの学生を入学させるというものではないからです。そのため、前期入試でも受かる程度の学力を身に着けていないと、後期入試も厳しいと言わざるを得ません。

ただし、国公立大学の場合は試験科目や配点などの傾向が前期入試とは違うことがあります。たとえば、後期入試では共通テストの配点が高く設定されていて、個別学力テストの配点は低めになっています。これは前期試験とは逆になっています。そのため、後期入試の際にはより共通テストを意識することが合格の鍵となることが分かります。

国公立大学では後期入試を導入しているところは多くなく、年によって後期試験を実施しないことや、実施するとしても定員を激減させる傾向が見られます。そのため、倍率が高くなり競争が激しくなっているのが実情です。それだけに難度の同じ問題であるとはいえ、合格ラインはさらに上がり厳しい受験競争をしなければなりません。

前期でも後期でも医学部では基本的に面接があり、国公立大学の場合はさらに小論文試験が設けられていることが多いです。多くの学生が集まって小さな得点差でしのぎを削ることになるため、小論文や面接におけるポイントが合格の可否を分ける要素となるケースも多々見られます。そのため、テストで高得点を取ることを基本としながらも、しっかりと面接対策や小論文の大学ごとの傾向を押さえておくことも欠かせません。

2.医学部後期試験を実施している国公立大学

医学部後期試験を行っている国公立大学は、次の通りです。

・旭川医科大学
・秋田大学
・山形大学
・千葉大学
・東京医科歯科大学
・富山大学
・山梨大学
・福井大学
・岐阜大学
・浜松医科大学
・名古屋大学
・三重大学
・奈良県立医科大学(公立)
・山口大学
・佐賀大学
・宮崎大学
・鹿児島大学
・琉球大学

これらの大学でも年によって後期入試を実施していない年がありますし、逆に他の大学医学部でも実施する年もあります。そのため、毎年自分が志望している大学が後期入試をするのかどうかを、確実にチェックしましょう。

医学部を設置している国公立大学は50ほどあります。そのうち後期入試を行うのは、例年15大学から多くても20大学程度で、3分の1くらいに留まっています。年によっても入れ替わりが激しい時がありますので見逃すことがないようにしましょう。定員については前期入試よりも少ない大学がほとんどとなっています。だいたい前期入試では50名前後の定員だったものが、後期入試では30名より少ない人数で、場合によっては一桁という大学も出てきます。それだけに、後期入試の倍率はかなり高いことと考えておきましょう。ただし、まれに後期入試の方が定員を多くとっている大学があります。山梨大学はその典型で、そもそも前期入試を利用しておらず、後期入試だけで90名程度の定員を設けているという珍しい大学です。他にも、奈良県立医科大学は前期で20名ちょっとの定員を設定して、後期入試で50名ちょっととしている年が多いです。後期入試に賭けたいという時は、こうした大学を見つけてチャレンジするのも良いでしょう。

最後に、国公立大学医学部の後期試験の日程は、3月半ばとなることがほとんどで、2週目の土日が使われます。1日だけの日程としているところと、2日間に分けて行う大学とがあります。国公立大学の場合はすべて同じ日程で実施しますので、どれか1大学に絞らざるを得ません。後期入試は前期に比べると受験科目の数を少なくしている大学が増えます。中には、学力テストを実施せずに面接と小論文試験だけで受験できるところも存在します。その分志願者が多くなる年もあり競争は厳しくなりますが、学力の面で不安が残るという学生はこうした大学を選ぶのも一つの手でしょう。

3.後期入試の特徴 【私立大学医学部】

私立大学医学部の後期入試の最大の特徴は、大学によって日程が異なるという点です。大部分は同じ日で行うのですが、いくつかの私立大学は別の日に実施します。その組み合わせをよく考えれば、複数の大学医学部を受験できるわけです。合格ラインに到達するかどうか分からないときや、滑り止め受験をしたいと考えているのであれば、日程に注目して複数受験の予定を立ててみるのも確実に医学部入学をするための道と言えます。

この日程ですが、3月前半に実施する大学が多く、一部2月に実施する大学もあります。土日に限らず平日に入試日程を設定している私立大学もありますので、上手に予定を作ればかなりたくさんの私立大学を受験できることになります。

もう一つのポイントは、後期入試の定員が少なく設定されているケースが多いことです。国公立大学の場合は20名台のところが多く、ある程度余裕があるように見えますが、私立大学は10名程度がほとんどです。中には5名ほどと、かなり合格枠が狭い大学も見られます。当然、後期入試にはたくさんの学生が受験しますので、競争率という点では前期入試よりもはるかに厳しい道のりとなってしまうのです。

また、国公立大学と同じで定員数が減少傾向にあります。年々競争率が高くなっていますので、後期入試だからと安心することがないようにしましょう。また、小論文と面接の配点割合が高い傾向が強いことにも注意します。というのも、英数理の一次試験は400点満点で配点されているからです。共通テストという他の評価基準がある国公立大学よりも、少しの点数差で競い合う傾向が高いため、さらに面接と小論文対策の重要性が高まります。

4.医学部後期試験を実施している私立大学

私立大学では、年によって後期試験を実施する大学リストが入れ替わります。近年後期試験を実施したことがある大学は以下の通りです。

・埼玉医科大学
・金沢医科大学
・関西医科大学
・近畿大学
・日本医科大学
・藤田医科大学
・久留米大学
・昭和大学
・大阪医科大学
・聖マリアンナ医科大学
・日本大学

日本における医学部を持つ私立大学は30校ほどですが、そのうちの3分の1の、10校ほどが例年後期入試を行っています。この比率は国公立大学とだいたい一緒なのですが、総定員数という観点で見ると私立大学の方がかなり少なくなります。1大学当たりの定員数は国公立大学に比べると半分から3分の1くらいまでになってしまいますので、受験する際には倍率をよく考える必要があります。

また、私立大学では後期試験の方が定員の多い大学は見つかりませんし、国公立のように後期試験のみにしているところや、後期試験を重視しているところもありません。やはり私立大学医学部を目指すのであれば、通常通り前期入試に的を絞った方が安心です。その上で、異なる試験日程を持つ私立大学を選んで、複数受験をするようスケジュールを組むことで合格の可能性を上げられます。

5.後期入試の対策方法

日程や学力試験の配点比率などで、国公立や私立大学の違いはありますが基本的な対策方法は同じです。まず、面接と小論文対策をしっかりとすることです。もともと医学部の入試では必ずあるものなのですが、後期試験の場合はさらにその重要性が高まるからです。

面接は特に大学によってスタイルが違うため、志望大学の情報を収集しておくことでより良い対策ができます。個人面接をするところもあればグループ面接とする大学もあります。グループだと周りの学生の回答を聞くことになり、個人面接とはかなり雰囲気が異なります。事前に予行演習をしていないと焦りやすいです。たとえば、事前に用意した答えが他の人の答えと同じになってしまって、その場で付け加えたり変更したりする必要を感じるかもしれません。このようにグループ面接対策は、さまざまなケースを想定して個人面接とは異なる対策をすることが大切になります。

また、面接時間が短いのか長いのかを知っておくことで、どの程度まで深く質問されるかを予測できます。何人の面接官が担当するのかという情報を得ておくと、当日部屋に入った時にびっくりしなくて済みます。面接はいわば「一発勝負」というところがありますので、できるだけ事前に本番の様子や雰囲気をイメージしておくことで、ミスを防ぎましょう。こうした面接の詳細な内容は大学によってかなり変わってきますので、志望大学ごとにしっかりとリサーチしましょう。

小論文対策では、まずどんなテーマで出題されることが多いのかを調べます。医学や倫理など、医学部受験そのものという題材が多いところもあれば、かなり自由でそれぞれの感性が問われるテーマとなる大学もあります。ある程度過去の出題から傾向を予測しておきましょう。その上で、文章構成の方法や言い回しの仕方などを学んでいきます。小論文対策は第三者にチェックしてもらうことがとても大事です。文章の癖や、言葉の使い方などは自身で気づくことがなかなかできません。客観的な意見をもらい、読みやすい文章になるまで修正しましょう。

学力試験対策としては、過去問演習を徹底することが後期入試のポイントです。前期入試までに苦手分野の克服を含めて、すべきことは終えているはずですので、後は得点力を高める努力を最後まで続けることが重要です。過去問を解いて点を取れなかったところを見つけて、解答に必要な知識が抜け落ちていないかをチェックしましょう。そして、たくさんの問題を解くことで自信を付けましょう。

6.まとめ

医学部の後期入試は国公立大学も私立大学も、全体の3分の1程度の大学で実施しています。競争率が高く、合格するのは簡単なことではありませんが、その年の最後のチャンスでもありますので真剣に臨むしかありません。また、大学ごとに面接や小論文の傾向が異なりますので事前のリサーチと対策がとても重要です。対策を十分にし、自信をつけて本番で100%を出し切って、医学部合格のチャンスをその手につかんでください。

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