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医学部受験の補欠合格について説明
難関の医学部受験ですから、合格発表の日に自分の名前が合格者のなかに見つからないということもあり得ることでしょう。しかし、すぐにあきらめてしまう必要はありません。大学入試の合格には、一般的な正規合格のほかに補欠合格もあり、補欠合格者の中から繰り上げ合格者が選ばれます。したがって、正規合格の中に自分の名前が見つからなくても、医学部合格の可能性はまだ残されているわけです。医学部受験の補欠合格について、概要を知っておきましょう。
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1.合格の種類
医学部を受験する受験生で、受験する大学を一つに絞る、いわゆる専願するのは少数です。多くの受験生がいくつかの大学の医学部を受験し、合格した大学のなかから志望順位の高い大学を進学先として選びます。その結果、複数の大学に合格した受験生は、実際に進学する大学以外は入学を辞退することになるわけです。
辞退された大学にとっては、辞退者がでることで入学者として定めていた定員に届かないことがあります。そこで、大学のなかには定員割れのリスクを見越して、正規合格しなかった受験者の中から、追加で合格者を決めることがあります。したがって、合格には、正規合格と補欠合格、補欠合格のなかから正式に入学資格を与えられる繰り上げ合格の3種類があります。
1-1.正規合格
正規合格とは、その言葉から明らかなように、入学試験に正規で合格することです。正規合格と同時に、大学への入学資格が与えられます。大学の合格発表というと、発表日にキャンパスで合格者が掲示され、それを見た受験生が一喜一憂するというイメージが一般的でしょう。その際に発表されている合格者が、正規合格を果たした受験者たちです。
正規合格者の採用人数には大学によって意味合いが異なります。入学定員と正規合格者数が同じ大学もありますし、最初から定員割れする可能性を考えて、定員よりも多くの人数を正規合格者として発表する大学もあり、各大学の事情によってさまざまです。大学のなかには、正規合格と同時に、学費の免除などの特別待遇が与えられるところもあります。
1-2.補欠合格
補欠合格とは、正規合格に次いで入学資格を与えられる順位にある立場です。
正規合格させた受験者が全員入学してくれるなら、補欠合格を決める必要はありません。しかし、冒頭でも述べたように、多くの医学部受験生は何校も併願しており、合格した大学のなかから本人が最も希望している大学に入学します。それゆえ、学費や受験校数の違いから国公立大学より私立大学ほうが入学辞退者が多くなる傾向にあるのです。
そこで、大学側は定員割れを防ぐために、あらかじめ、正規合格者の次点に位置する上位受験者を何名か「補欠合格」としてキープしておきます。正規合格者のなかから実際に入学辞退者が現れた時、その欠員を埋めるために、補欠合格者のなかから入学資格を与えていくわけです。
したがって、補欠合格者として発表されたからといって、その時点では大学に入学する資格がありません。この時点では、今後の状況次第で入学を許可される可能性があるに過ぎないということです。補欠合格となっても最終的には不合格となることがあるので、これで進路が決まったと安心しないようにしてください。
1-3.繰り上げ合格
ここまで何度か述べたように、医学部を受験する受験生の多くは、複数の大学を受験しています。多くの受験生は国公立大学を第一志望に、私立大学を第二希望以下として併願しているのが現状です。
したがって、私立大学に合格しても、同時に第一志望の国公立大学に合格した場合、彼らの多くは第二志望以下の私立大学を辞退し、国公立大学に入学します。その際に生じる欠員を補充するための候補が、先ほど述べた補欠合格者です。繰り上げ合格者とは、補欠合格者のなかから実際に入学資格が与えられた者を指します。
補欠合格の時点ではまだ仮の立場であり、正式に入学資格を与えられていません。しかし、繰り上げ合格となった時点で、正式に入学を許可されます。入学以降は正規合格者と立場上、何ら違いはありません。
繰り上げ合格だからといって特別なカリキュラムを課されるわけではありませんし、奨学金でも不利になることはありません。大学によっては、最初に発表される正規合格者よりも、補欠合格からの繰り上げ合格者のほうが多くなる場合もあるぐらいです。そのため、大学卒業後、医師として実際に勤務する際も、繰り上げ合格だったことがハンデになることはありません。補欠合格が発表されるのはいつ?
2.補欠合格が発表されるのはいつ?
補欠合格の発表は、すべての試験が終わった後に行われます。国公立大学医学部の場合、後期試験終了後になるため、補欠合格が発表される時期は3月後半です。すでに私立大学の入学手続き期間が終了しているタイミングですので、国公立大学と私立大学を併願する受験生は、繰り上げ合格で国公立大学を狙う場合、私立大学への入学金がむだになってしまいます。
私立大学での補欠合格の発表は、試験が終わって正規合格が発表されるのと同じタイミングです。ただし、先ほども述べたように、補欠合格者になったからといって、その時点では実際に入学できるかどうかわかりません。入学できるかどうかは、今後正規合格者のなかから入学を辞退する人がどれぐらい現れるかによって決まります。
ただし、私立大学の合格者の多くは、国公立大学やより難関の私立大学にも合格しているとそちらを優先する傾向があるため、大学次第では補欠合格の段階で繰り上げ合格となる確率はかなり高いと言えるでしょう。
大学によって、補欠合格の順位を公表する学校と公表しない学校があります。補欠合格の順位の高い順に繰り上げ合格となるため、順位が公表されるのであれば、自分がどうなるかはある程度予想できるでしょう。しかし、順位が公表されない大学の場合、今後繰り上げ合格になるかどうかは予想しようがありません。
また、繰り上げ合格の発表が1回のみでない大学もあります。一度繰り上げ合格者を発表しても、入学手続きの期日の後に、さらに追加で繰り上げ合格者が決まることもあります。入学試験が前期と後期で分かれている大学なら、入学手続きの期日も前期と後期で違うため、前期の期日後に通達されなくても、後期の期日後に通達される可能性が残っているわけです。
3.補欠合格の発表方法とは?
補欠合格の発表も、以前は正規合格と同じく、学内の掲示板に張り出すという方法が一般的でした。しかし、インターネットの普及や、新型コロナウイルス感染拡大の影響もあって、掲示板での発表は少なくなっています。仮にまだ掲示板での発表を行っている大学であっても、それ以外の通達方法を用意していますので、お住まいが遠方だからといって心配しなくて大丈夫です。
補欠合格者のなから繰り上げ合格が決まると、一般的には電話で通達されることが多いです。電話によって、合格者に入学意志を確認します。入学意志を示した合格者に、入学手続きのための書類が郵送されるという流れです。
なかには、電話ではなく電報で通達する大学もあります。入学まで時間的に余裕がある場合は、郵送にて通達する大学もあるようです。また、最近ではオンラインでの普及に伴い、メール等での通達も増えています。大学によって公式のメールアドレスやアプリなど通達方法は異なりますので、受験した学校については事前に確認しておくようにしましょう。
なお、電話で通達される場合、番号非通知でかかってくる場合があります。非通知の電話を自動的に着信拒否になるように設定している人も多いですが、電話を受けずに放置していたら、せっかくの繰り上げ合格をふいにしてしまいます。発表のある時期は着信設定を見直しておき、知らない番号からの電話も受けられるようにしておきましょう。
先述したように、国公立大学の繰り上げ合格の発表は、後期試験の合格発表の後です。そのため、繰り上げ合格者に通達されるのは3月も終わり近くになってしまいます。他の大学に合格している人はすでに入学手続き始め、遠方の大学なら転居の準備等も進めているかもしれません。それでも国公立大学が第一志望であれば、すでに入学手続きを進めている大学を辞退することができます。ただし、入学金や授業料等すでに支払った学費が返ってくることはありません。費用的な負担がかなり大きくなってしまうことになります。他のどの大学にも合格せず、浪人を覚悟した時に知らされる繰り上げ合格は朗報ですが、そうでない場合の費用的リスクはあらかじめ考慮に入れておいてください。
4.補欠合格人数の傾向は?
国公立大学では、補欠合格者を基本的に公開していません。受験者本人も、実際に繰り上げ合格の発表があるまでは、自分がそのなかに入っているかどうか予想できない状態です。
また、国公立大学の繰り上げ合格者の人数は、実際それほど多くありません。毎年、数名程度です。辞退者が出ない場合、繰り上げ合格者ゼロということもあり得ます。
一方、国公立大学に比べると、私立大学の補欠合格者数はかなり多いです。ブランド力の高い有名大学以外では、受験生の多くは国公立大学の併願先として第二志望以下にしていることが多いため、入学辞退者が多数出ることが予想されるからです。
近年、国によって私立大学の定員を厳格化するよう求められていることもあり、従来よりも補欠合格人数は増加傾向にあります。全国に多数の私立大学がありますが、従来は大都市部の一部の大学に人気が集中してしまっていました。それを防止する観点から、国により定員の上限を厳しく守るよう、全国の私立大学にお達しが出ているわけです。
このように以前に比べて、私立大学の出せる合格者の人数は大きく減少しています。しかし、定員に合わせて合格者の人数を定めても、合格者の一定の割合が国公立大学や他の私立大学に流れる傾向に変わりはありません。そのままでは定員割れしてしまうため、私立大学では補欠合格の人数を増やすことで対応しているのです。
実際、こうした例がありました。ある私立大学医学部は、100人を定員として募集していましたが、正規合格者の発表と同時に、定員の2倍の200人もの補欠合格者を発表したのです。実際にそのうちの大多数が繰り上げ合格となったため、正規合格者の大部分は入学を辞退したことが推測されます。その後も繰り上げ合格者が出たことから、繰り上げ合格となった受験者のなかにも、辞退者が少なからず出たとのことです。
このように、一部の私立大学では、正規合格者の人数以上の補欠合格が出ることがあります。具体的な人数はもちろん年ごとに違いますし、具体的な人数を公表していないところも多いです。したがって、繰り上げ合格をあてにして結果を待つのは頼りない状況ですが、他に選択肢が残っていないのであれば、わずかな可能性に賭けてみるのもよいでしょう。そして、いざ連絡があった時にはすぐに対応できるように態勢を整えておくことです。
私立大学の医学部は難化傾向にあると言われています。確かに、一部の難関私立医学部はこれまで以上に狭き門になっているのでしょう。一方で、地方私立医学部なら繰り上げ合格によって入学できるチャンスも広がっています。もちろん、補欠合格からの繰り上げ合格を期待して受験に臨むのではなく、確実に正規合格できる実力をつけることが肝要です。しかし、補欠合格からの逆転もあると頭に入れておくことに損はないでしょう。
5.まとめ
正規合格者から辞退者が出て、欠員が生じた時のために選ばれるのが補欠合格者です。補欠合格は、今後の状況次第で入学を認められる可能性があるという段階なので、まだ安心はできません。その後、補欠合格者のなかから繰り上げ合格となって、初めて入学資格が得られます。確実に入学できることを保証するものではありませんが、特に私立大学医学部を志望する場合は、補欠合格からの繰り上げ合格にも注目しておきましょう。
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