2023.08.24更新日

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国公立大学医学部の学費はなぜ私立大学と比較して安いのか解説

理系最難関と言われる医学部受験。合格に必要な学力は計り知れないでしょう。そして、医学部入学にはもう一つ大きな壁が立ちはだかります。それは「高額な学費」です。

そんな学費問題を解決する一つの方法は、国公立大の医学部に進学することです。国公立医学部は私立医学部よりもかなり学費が安くなっており、学費が高い大学の場合、国公立大と私立大の学費差は10倍にもなります。

そこで今回、なぜ国公立医学部は私立医学部よりも安いのかを解説します。

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1.国公立大学医学部の学費の相場は?

国公立大学の医学部の学費は基本的にどの大学でも同じくらいの金額です。というのも、国立大学では国によって標準的な学費が定められており、その金額は入学金として282,000円、そして年間の授業料として535,800円です。しかし、例外もあります。例えば、千葉大学と東京医科歯科大学の学費は入学金が282,000円でこれは他の国立大学と同じ金額ですが、年間の授業料は642,960円となっており、他の国立大学と比べると少し高額になります。

公立大学も国立大学と学費は同じところがほとんどであり、入学金が282,000円、そして年間授業料が535,800円です。しかし、公立大学の特徴として、県内在住者とそれ以外とで入学金に違いがある大学がいくつかあります。

例えば、福島県立医科大学では福島県の住民の入学金は国立大学と同じ282,000円ですが、県外の人の場合は846,000円と倍以上になります。他にも、横浜市立大学、名古屋市立大学、京都府立医科大学、奈良県立大学も同じような学費制度をとっています。

これらの公立大学では入学金と授業料の他にも後援会のための寄付金や学生会費、同窓会費、さらには研究費用や災害保険料などがかかるところがあります。それぞれ十万円単位の高額な費用になるので、進学を検討する際には実際にどのくらいの費用がかかるのかをきちんと調べるようにしましょう。

このように、国公立大学の医学部であれば学費はどこの大学であってもほとんど同じと言えます。おおよその金額として、医学部6年間にかかる学費の合計は350万円ほどになるでしょう。この他に、教科書代や試験費用、各種団体への寄付や生徒会費などがかかります。   

2.私立大学医学部の学費の相場は?

私立大学の医学部の学費は国公立大学の学費と比べて、はるかに高額です。また、学校によって学費に大きな差があります。

私立大学の医学部の中で学費が安いとされているの大学でも、医学部6年間にかかる学費の合計は約2,000万円です。学費が安い大学でも国公立大学と比べると5倍以上の差があることがわかります。

ちなみに、私立大学の医学部の学費は6年間の合計で、約2,000万円から4,000万円と大学により大きく異なります。

なお、気になるのが入学金ですが、入学金がいくらになるのかも学校によって異なります。また、入学金は一年目の授業料と合わせて、初年度納付金として大学側に支払うことがほとんどです。そのため、志望する大学の6年間の学費に加えて、初年度納付金がいくらなのか、その内、入学金がいくらなのかもしっかりと把握しておくことは大切です。

また、私立医学部受験では第一志望以外の大学を沢山併願することになります。そして、第一志望以外の大学から先に合格が発表されることもあるでしょう。その際、先に合格した大学をキープするために入学金を払うことになります。しかしこの入学金は、入学を辞退しても返金されることはありません。私立大学の医学部の場合、入学金だけでも100万円以上の費用がかかることがあります。国公立大学の入学金と比べるとかなりの大金になるため、初年度納付金を支払う期限や入学金の金額なども良く考えてから併願する学校を選ぶと良いでしょう。

3.国公立大学医学部の学費はなぜ私立大学と比較して安いのか

以上では学費の詳細を紹介しましたが、なぜ国公立と私立医学部で10倍もの学費の差が出るのでしょうか?

3-1. 学生に課される運営費用が多い

国公立大学よりも私立大学の方が学費の高い理由の一つは、私立大学は学校の運営に関わる全ての費用を自身で賄わなければならないからです。一方で国公立大学はその名の通り、国が運営している大学なの学校の運営のために「税金」が利用されています。

私立大学医学部は運営費を学生の学費から賄わなければならないため、学生一人当たりの学費が高額になってしまいます。特に医学部は専門の設備を購入する必要があることや、既存の設備でも最新のものに交換しなければならないことが多くあります。また、医学に関係する設備は一つ一つが高額なものであるため、学校の運営には多額の費用がかかります。

国公立大学ではそうした学校の運営のために税金が利用されているので、学生が賄う費用が少なく、私立大学と比べてかなり安い学費に抑えることが可能になります。

3-2. 国によって学費が定められている

国公立の学費が安い理由の2つ目は、国公立大学では「国によって学費が一律に定められている」ことが挙げられます。もちろん、多少の例外はありますが、私立大学のように学校や学部によって学費が2倍近く変わるということはありません。学費を気にするなら第一志望に国公立大学を選ぶと良いでしょう。

3-3. 設備が違う

国公立大学の学費が私立大学の医学部よりも安い別の理由に「学校の持つ設備が異なる」という点も挙げることができます。これは国公立大学医学部にとってはデメリットの一つであると言えるかもしれません。国公立大学は学校の運営のために税金が使われていることも含め、設備投資のための資金に限りがあると言えます。そのため、私立大学ほどすべての設備が完璧に整っていない場合も考えられます。

一方、私立大学の医学部では設備などにかかる費用を学費とは別に徴収しているところもあり、そのおかげで最新の設備を整えることができます。学費やその他の費用が高いことは私立大学の医学部のデメリットの一つですが、国公立大学に比べて設備が充実していることを考えると仕方がないと言えるかもしれません。

4.まとめ

医学部への進学は多額の費用がかかるというイメージを持つ人が多いですが、国公立大学であれば他の学部の学費と変わらずに進学することができます。

国公立大学の学費が安い理由は、「国が運営しているため税金が使われていること」「学費が国によって定められていること」「私立大学の医学部と学校の設備が異なること」の3つが挙げられます。

国公立大学は学費が安いことが特徴的ですが、その分、施設費が私立医学部に比べて少ない場合もあります。国公立大学を受験するときは、自分の学びたい分野の設備が整っているのかはあらかじめ調べておくと良いでしょう。

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