2023.08.24更新日

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私立大学医学部の受験科目とその特徴をご紹介

学費が高いイメージばかりが先行してしまいがちな私立大学の医学部は、イメージだけで判断してしまうと私立大学の医学部を受験校の選択肢から外してしまうこともあります。しかし、近年の私立大学の医学部は奨学金や特待生制度も充実しており、そういった制度を利用すれば学費の壁を越えられるケースも少なくありません。国公立大学だけに照準を合わせず、私立大学も視野に入れることで合格の可能性がいっきに広がっていきます。今回は、私立大学医学部の受験の概要について見ていきましょう。

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1.私立大学の医学部受験とは?

医学部医学科が設置されている大学は全国に82校あり、そのうち31校は私立大学です。私立大学の受験倍率は、概ね10倍以上で国公立大学の倍率の約6倍にもなります。偏差値は、60~72ほどと国公立大学よりもやや低い程度となっていますが、私立大学の場合、併願する受験生が多いので、倍率と偏差値で大学の難度を把握することは非常に難しいです。

私立大学は、学校法人が運営しているので、国や地方が運営し合格基準がある程度絞られている国公立大学と異なり、大学により難易度も様々です。そのため、自分が得意とする傾向に合った大学を探すことで受験を有利に進めることができます。

また、全大学の試験日程が同じである国公立大学と異なり、私立大学は試験日程が異なるため、複数の大学を併願受験することが出来ます。

併願の一番のメリットはやはり合格確率を上げることができることです。出題傾向の異なる大学を多く受けて一回でも合格点を取れば医学部に入学することができます。また多くの大学を受けることで、試験会場の雰囲気に慣れて独特の空気に吞まれなくなります。

そしてもう一つのメリットは、私立大学の医学部受験では繰り上げ合格となる確率が他学部より高いということです。当然ですが進学する大学は1つです。いくつもの大学に合格してもその中から進学する大学を1つ選ぶことになるので、進学しなかった大学(蹴った大学)の枠に他の受験生が繰り上がることになります。このような繰り上げ合格を狙えることも併願受験のメリットです。

2.試験の傾向

当然ですが私立大学の試験問題は、大学ごとに試験内容が異なります。しかし、その出題傾向は大学により特徴があるので対策はしやすくなります。例えば、ある大学では物理の原子分野に関して超難問を出題するので、物理の理解度を上げておく必要がある。また、別の大学では毎年のようにボリュームのある英語の長文問題を出題するので、速読力を上げる必要がある。さらには英語の問題が医療系の論文から出題がされるので医療英語の学習も必要。このように大学ごとの傾向を理解しつつ、志望校に合った対策を練る必要があります。

国公立大学に比べ、ある程度受験科目が絞られているのが私立大学受験の利点でもあります。大学によって科目を減らしたり増やしたりしている場合もあります。特に理科は3教科の中から自分で2教科を選択する大学がほとんどですが、1教科に絞っている大学もあります。ここ最近の傾向として、従来のセンター試験から共通テストへの変更に合わせ、個別試験でも思考力や判断力、表現力を問われる問題が増えています。暗記重視の問題ではなくなっているのです。

3.私立大学医学部の受験科目とは?

私立大学の試験内容は、一次試験(筆記試験)では英語・数学・理科2科目、二次試験では面接、小論文という形式がスタンダードです。それぞれの特徴について確認していきましょう。

3-1. 一次試験

3-1-1. 英語

医学部受験において重要視される科目の一つで、大学によって内容は様々ですが、正誤問題や並べ替え問題といった文法問題が多い傾向があります。長文読解に関しては、文がかなり長く、英作文も課される場合があるため、いかにスピーディーに問題文を読み進められるかが勝負の分かれ目となります。また医学部ということもあり、医療系のテーマが頻出することも特徴のひとつです。

共通テストでは問われませんが、基本的な文法問題、英作文、医学単語の学習をしっかり進めましょう。

3-1-2. 数学

英語と並んで重要視される科目で、広い範囲から満遍なく出題され、私立大学ではマーク方式が採用している大学が多いです。特徴の一つとして、処理能力を重視している傾向があり、標準的な問題が大量に出題されます。問題を短時間に正確に解くことが出来るかを見られます。出題範囲は大学によって様々ですが、ほとんどの大学では数ⅠA・数ⅡBに加え、数Ⅲまでが出題範囲になります。特に「積分」はどの大学でも毎年出題されますので、十分な対策が必要になります。

また標準的な問題とはいえ、計算方針を間違えると、どれだけ計算が早くても時間内に答えを導くことができません。ですので、問題集や過去問触れる中で解法のルートがすぐ思いつくように訓練しましょう。

3-1-3. 理科

生物、化学、物理の中から2教科選択するのが一般的です。一部の大学では、理科1科目選択というケースもあります。2科目選択の大学は、自分の得意な教科を選ぶのが一番良いでが、1つの科目は化学を選択することで受験を有利に進められる可能性が高まります。なぜなら化学には、生物と物理両方の要素を含んでいる部分があるからです。医学部の理科の試験は、化学を習得していると仮定して作られていることが多く、物理や生物の問題でも化学の知識がなくては解けない問題があります。そういった問題を失点しないためにも化学を勉強しておくと役に立つでしょう。もう1教科については一概には言えないものの、理系科目が得意な人は物理、文系科目が得意な人は生物を選択すると良いでしょう。物理は論理的な思考が必要となり、生物は暗記項目が多い傾向にあるためです。まずは、志望校の問題の傾向の把握や自己分析をしてどの2教科を選ぶのが得策か決めていきましょう。

3-2. 二次試験

多くの私立大学の二次試験では、面接・小論文が出題されます。医学部受験は一次試験だけではなく二次試験もクリアしないと合格にはなりません。二次試験も最重要なのです。受験生の中には一次試験に気を取られ、二次試験の対策を怠り合格の逃す人がいます。面接や小論文も一次試験同様に万全の準備が必要です。しっかりとした対策をとることでわずかな合格のチャンスをつかみ取ることができます。油断せずに以下で説明する方法を中心に、最後まで走り抜けましょう。

3-2-1. 面接

面接は大学によって、個人面接、集団面接などがあります。医師として働くことになれば、一緒に働く看護師や薬剤師や患者と綿密で良好なコミュニケーションを取る必要があります。そのため、面接ではその適性があるかどうかを問われます。問われる内容は、医師になりたい理由や自分の長所・短所、なぜその大学を志望したのかといったことです。そういった質問に、面接官の目を見て途切れることなく答えられれば問題はありません。想定質問を用意しておき、解答を考えておけば本番で焦ることもないでしょう。リラックスして面接に臨めるよう何度か模擬面接を行ってください。

3-2-2. 小論文

小論文は、医学部特有の内容と大学特有の内容の2点を学習することで対策することができます。医学部特有の内容は、医学部小論文対策の参考書を購入することがいいです。参考書には諸論文の書き方の基礎も記載されていますので、初めに学習しましょう。

次に大学特有の内容の対策についてですが、赤本に過去問が載っていないなら対策は難しいです。そこで、医学部専門予備校に通うことをおすすめします。医専では、過去の生徒が集めた情報が集積されています。そのため、小論文で出題された内容が不完全ながらも過去問として残っているのです。うまく予備校を活用して対策を万全にしましょう。

4.私立大学医学部を目指す際の受験勉強の方法とは?

私立大学医学部の受験勉強には、大前提として各科目の基礎を徹底的にマスターすることが欠かせません。医学部の試験は、問題の難易度がそれほど高いわけではありません。やみくもに難問にチェレンジするのではなく、確実に点数を取っていくことが合格への近道です。そのためには、一つ一つの科目の基礎を完璧に理解し、どの分野から出題されても対応出来る力を身に付ける必要があるのです。練習問題を解いていく中で、間違えてしまった問題があればそのままにせず疑問が解けるまで向き合いましょう。基礎学力が身に付いていないと、応用問題を解けずに得点を稼ぐことが出来ません。

また、医学部の試験は問題数に対して試験時間が短く設定されているケースが多いので、スピード感を持って問題に取り組む力も必要になります。基礎的な問題には時間をかけずにサクサクと解き、応用問題に割くための時間を残しておく余裕が必要です。そのために、過去問などで多く出題されている問題をたくさん解いて問題に慣れておくと良いでしょう。見慣れた問題であれば、素早く解答することが出来るはずです。

そして、志望校の過去問は過去3年分以上解くことが理想的です。私立大学医学部の問題は、各大学で特色のある問題ばかりです。とにかく志望校の過去問をたくさん解いて問題傾向を理解し対策を掴むことが合格への近道となります。受験する志望校に合った対策を打てれば、効率良く学力をアップさせることが出来ます。志望校に合った対策を立てるためには、予備校に通うのが一番効率の良い方法ですが、予備校選びにも注意が必要です。自分に合っていない予備校を選んでしまうと、勉強へのモチベーションが下がり、効率があがるどころかやる気がなくなってしまう可能性も考えられます。講師の質やカリキュラムの組み方、学習環境の充実度などをしっかりと自分の目で見極めるべきです。受験勉強は長い戦いですので、常にベストな環境で学習出来るよう予備校はじっくりと選びましょう。

最後に、私立大学医学部の場合、併願受験することが多くなりますので、受験校の受験日程の把握とそれに合わせた体調管理が重要になってきます。受験直前になって、詰め込み型の追い込みをすることがないように長期的な学習計画も早い段階でしっかり立てておきましょう。余裕を持った心境で受験日当日を迎えられるのが理想的です。

5.まとめ

国公立大学と異なり、私立大学は独自の試験を課しており、出題傾向や問題の形式もオリジナリティ溢れるものが多くなっています。小論文のテーマにもそれぞれの特徴が現れますので、自身の志望校に合わせた対策が必要になります。早い段階で志望校を決めてその大学の出題傾向に沿った学習計画を立てて、コツコツと勉強を進めることが出来れば、十分に私立大学医学部の合格は狙うことが出来ます。

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