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医学部の奨学金で返済不要なものってあるの?
医学部の学費は他学部と比べて高額です。特に私立大学の場合、1年間の学費だけで数百万円もかかるところがあります。学費の高額な大学だと、6年間の総額が数千万円に上るところもあるほどです。一方、国公立大学の場合、学費は基本的に全学部同額です。しかし、医学部は卒業までに6年かかるうえ、教科書代など諸費用も決して安くなく、やはり他学部と比べると出費がかさみます。
しかし、奨学金制度を利用すれば高額な学費だからと進学をあきらめる必要はありません。奨学金は借りたら返さなければいけないというイメージが強いですが、なかには返済不要の奨学金もあります。つまり、費用の負担ゼロで医学部を卒業することも不可能ではないのです。
そこで今回は学費を抑えて医学部に通う方法をご紹介します。ぜひ最後までご覧ください。
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1.医学部の奨学金制度とは?
医学部の奨学金も、制度自体は基本的に他学部と変わりません。経済的な事情で進学や修学が難しい優秀な学生に、学費を一部(または全額)提供するという制度です。まず、奨学金を「貸与型」と「給付型」に分け、それぞれの違いを確認しておきましょう。
1-1.貸与型
貸与型の奨学金とは、文字通り学生に貸与される奨学金です。学費や生活費に充てるお金を貸してくれると言ってもよいでしょう。しかし、貸してくれるお金ですから、当然、返さなければなりません。大学を卒業してから毎月少しずつ何年にもわたって返済する必要があるのが貸与型の奨学金です。
なお、利息の有無は奨学金によって違いますが、利息がかかる場合でも一般的な融資よりかなり低くなっています。
1-2.給付型
貸与型に対して、給付型の奨学金とは学生に交付される奨学金のことです。貸与型のように返済の必要がなく、簡単に言えばお金がもらえる奨学金と思ってよいでしょう。
給付型の奨学金は返済の必要がないため、もちろん貸与型より希望者は多いです。そのため、給付条件が厳しくなるほか、給付人数もそれほど多くありません。したがって、誰でも給付を受けられるとは限らないのがネックになります。しかし、返済不要は大きな魅力ですから、チャンスがあるなら申請しておきたい奨学金です。
2.医学部で利用可能な奨学金の種類
奨学金の種類に貸与型と給付型あることがわかりましたが、では、医学部ではどんな種類の奨学金制度が利用できるのでしょうか。
2-1.公的な奨学金制度
医学部で利用できる奨学金には、公的な機関が実施する制度が多いです。実施元を大きく分けると、国公立大学、日本学生支援機構、地方自治体の3つがあります。
2-2.国公立大学の学費減免制度
奨学金制度はすべての国公立大学に用意されています。また、奨学金という形で金銭を支給するのではなく、学生が本来支払うべき学費から一部、もしくは、全額が減免される制度を用意する大学も少なくありません。奨学金の場合、貸与型であれば返済の必要がありますが、減免制度であれば、将来の返済を気にすることなく本来負担するべき学費を抑えるのに有効です。
国公立大学の学費減免制度には、大学によってさまざまな制度があります。たとえば、家庭の経済的な事情で学費の納入が困難な学生を対象にしたものを始め、豪雨や地震などの自然災害の被害に遭った学生を対象にした制度などです。
奨学金という形で支給する制度ももちろん各大学にあります。その詳細は大学ごとにさまざまですが、自校の大学院や関連施設に進む人を対象にした奨学金などは、多くの大学で利用可能です。
なお、奨学金制度であれ学費減免制度であれ、ほとんどのケースは学費の負担の一部を軽減するというものです。月に数万円など一定に金額が支給され、学生生活をサポートしてくれます。しかし、卒業までに6年間もかかる医学部の場合、負担の一部軽減だけでは経済的に進学が難しいというケースもあるでしょう。一部の大学では、経済的な負担の大きい状況下にある学生にも医師になるための援助をしています。
代表例は防衛医科大学校です。防衛医科大学校は、行政上は「防衛省の施設等機関」という分類になり、一般的な国公立大学とは大きく異なっています。しかし、勉強して医師を目指すという意味では大学医学部と同じと考えてよいでしょう。
防衛医科大学校に入学すると、入学者はふつうの大学のように学生になるのではなく、特別職国会公務員という身分になります。公務員ですので学費の負担はなく、反対に給与や賞与がもらえます。つまり、お金を稼ぎながら医師になる勉強ができるのです。医学部の高い学費が進学の妨げになっている学生には魅力的ではないでしょうか。
ただし、防衛医科大学校の場合、注意しておくこともあります。防衛医科大学校とは、将来の幹部自衛官や医官の養成のために設立された機関です。そのため、卒業後、医師国家試験に合格してからは、幹部自衛官として勤務することが決まっています。勤務先は自衛隊病院や各部隊などです。もし9年以内に退職するようなことがあると、防衛医科大学校の卒業までにかかった経費を返還しなければなりません。
防衛医科大学校への進学とは、卒業後、30代前半までの進路を早くも決めてしまうことを意味します。そのため、医師を目指す人全員に最適な進学先とは言えません。しかし、学費をまったく負担することなく医師を目指せるわけですから、人によっては一考の余地があるのではないでしょうか。
2-3.日本学生支援機構奨学金
日本学生支援機構奨学金とは、独立行政法人日本学生支援機構(JAASO)の提供する奨学金です。以前まであった日本育英会の奨学金と考えるとわかりやすいでしょう。全国の大学生に最もよく利用されている奨学金であり、現に3人に1人以上の学生が奨学金の支給を受けています。
日本学生支援機構奨学金は貸与型と給付型の2種類です。貸与型は第一種と第二種からなり、第一種は利息なし、第二種は年3%を上限とする利息つきで一定額を貸してくれる仕組みです。
貸与型の第一種奨学金を利用するには、成績評定が平均3.5以上で、高等学校学校長の推薦を受けることが条件です。また、家計にも基準が設けられており、4人家族ならば世帯年収が747万円以下の場合にのみ利用できます。
第一種奨学金で貸与される金額については、自宅から通学するのか、自宅以外の場所に下宿するのかによって違います。国公立大学の自宅通学生は月45,000円、自宅外通学生は月51,000円までです。私立大学の学生だと、国公立大学よりも若干貸与額が高く、自宅通学生が上限月54,000円、自宅外通学生が月64,000となっています。
第一種奨学金の利用条件を満たしていない人は、第二種奨学金を申請することになります。卒業後は最大年3%の利息がかかりますが、在学中は利息がかからないので、経済的負担なしで勉強に打ち込めるはずです。
第二種奨学金は利息があるだけに第一種よりも条件が緩やかで、成績は平均以上、家計は4人家族の場合、世帯年収1,096万円以下の場合に申請できます。貸与される金額は、月額2万円から1万円単位で最大12万円まで設定可能です(私立大学は最大16万円まで)。
日本学生支援機構には給付型の奨学金もあります。こちらは以前まで利用対象が生活保護受給世帯などに限られていましたが、2020年から対象が大きく拡大されています。生活保護の受給対象でなくても、住民税の非課税世帯や、それに準ずると判断された世帯なら利用可能です。
条件を満たす年収の具体的な金額は家族構成によって違います。非課税世帯と同レベルの年収ならば利用条件を満たしていると考えてよいでしょう。非課税世帯となる具体的な金額は、お住まいの市区町村役場で確認してください。
給付型の奨学金を申請できる人は一部に限られますが、もし利用できるなら学費だけでなく入学金も減免対象となります。
2-4.地方自治体の奨学金制度
各地方自治体が実施する奨学金制度も多数あります。医学部で利用できるのは、自治体の医療振興を目的とした奨学金です。つまり、奨学金を利用できるのは、卒業後、自治体指定の医療分野と医療機関にて規定以上の期間勤務する意欲がある人に限られています。
卒業後の進路は決まってしまいますが、日本学生支援機構奨学金よりも多額の支援が受けられるのが自治体の奨学金の魅力です。具体的な金額は各自治体によって違うものの、月10万円から多いところなら30万円前後の支給があります。ただし、自治体の奨学金は、支給の決定が大学入学後になることがほとんどですので、事前に資金計画に加えたい人には利用しにくい面があることに注意です。
地方自治体の奨学金制度の例を一部挙げると、東京都の実施する「東京都地域医療奨学金」があります。この奨学金を利用できるのは、東京都内在住か都内の高校に在籍する生徒です。順天堂大学、杏林大学、東京慈恵会医科大学にて採用されている制度で、各大学が実施する地域枠入学試験を突破して入学すると、入学金と卒業までの6年間の学費全額が免除になるほか、生活費として月々10万円を東京都が貸与してくれます。また、定員が各大学で決まっており、順天堂大学と杏林大学が10人、東京慈恵会医科大学が5人です。
東京都地域医療奨学金を利用した場合、卒業後は僻地医療や周産期医療の分野で、9年間都指定の医療機関にて勤務することが求められます。9年間勤務すると貸与された金額の返還は全額免除です。一方、9年以内に退職した場合は、奨学金の一部を返還しなければなりません。
東京都以外では、静岡県にも「医学修学研修試験」という奨学金があります。こちらは、月20万円、1年間で240万円を、医学部卒業までの6年間貸与してくれるという内容です。募集人数は毎年若干名で、卒業後は県が指定する医療機関にて9年以上勤務することが求められます。指定の期間を経過せずに退職した場合は、貸与された金額を変換する必要があるので注意です。
3.医学部の返済不要な奨学金とは?
大学の医学部が実施する奨学金制度のなかにも、貸与ではなく返済不要な給付型の奨学金を用意している大学があります。ここまで挙げた奨学金と比べると金額は少ないことが多いですが、返済不要ですので申請できる場合は検討してみましょう。
例として日本大学を挙げると、同大学には医学部生を対象とした奨学金制度が複数用意されています。医学部特定医療奨学金、医学部同窓会60周年記念医学奨学金、医学部土岐奨学金、医学部永澤奨学金などです。これらの奨学金は年額20万円や、月々もらえるもので5万円ずつなど、それほど金額は大きくありません。奨学金だけで学費を賄うことはできませんが、いずれも給付型で返済不要なのが魅力です。
自治医科大学医学部にも返済不要な奨学金があります。奨学金というより、同大学医学部の入学者には全員に6年間の学費全額(2,200万円相当)が貸与されるシステムです。卒業後は公立病院などで9年間の地域医療従事が必要ですが、勤務した場合、貸与された金額の返還が免除されます。自治医科大学は私立大学になりますが、旧自治省行政局主導で設置された公設民営大学の位置づけですので、先に挙げた防衛医科大学校と似た制度と考えるとわかりやすいでしょう。
そのほか、北九州市にある産業医科大学も、入学者に高額な修学資金を貸与しています。合計で2,000万円近くになる高額な奨学金ですが、6年間の学費全額には足りません。奨学金を利用しても1,000万円以上の学費を負担することになりますが、高額な資金を援助してくれることには変わりないでしょう。なお、こちらも同様に卒業後の進路が決まっており、返還を免除してもらうには9年間の指定勤務先での勤務が求められます。
4.まとめ
上記のように、医学部で利用できる返済不要の奨学金はいくつもあります。ただ、全国にはさまざまな奨学金制度があるものの、わかりやすいデータベースがないため情報集めが大変です。志望大学の奨学金担当課で調べることはできますが、各大学で申請内容も締め切りも違えば、制度の変更もしばしば見られます。情報集めには時間がかかることが予測されるので、余裕のあるうちに早めにリサーチを始めましょう。
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