2022.07.28

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医学部の地域枠って?学費を抑えて医学部を目指す方法?

医学部への入学の仕方はいくつかあります。通常の共通テストや大学独自のテストを受ける方法、推薦枠を使うといった受験の仕方の他に、地域枠を利用して受験するというものがあります。医学部の地域枠とはどんな仕組みなのでしょうか?また、この受験方法のメリットとデメリットとしてはどんなものがあるのでしょうか?こうした点を考えて、様々な入学法からあなたに最適な医学部進学法を探ってみましょう。

医学部の地域枠って?学費を抑えて医学部を目指す方法?

1.医学部の地域枠受験について

医学部の地域枠受験というのは、卒業してから指定された地域で医師として働くことを条件に、受験についての優遇措置を与えるという制度です。これは、2010年に始まった制度です。その目的は地域による医師の数の偏りを直すというものとなっています。いわゆる地方部ではどうしても人口や面積に対して医師が足りなくなる傾向があり、適切な医療サービスを提供できない恐れがあります。そこで、医学部に進学する段階から、卒業後の活躍の場を指定することで医師の絶対数を増やそうとして生まれたわけです。

地域枠は多くの大学で採用していて、全体の90パーセント程度の大学が何らかの形で制度を設けています。医学部全体の定員との割合も高く、2016年の時点では地域枠を利用して入学した人は全体の17.5パーセントとなっています。それだけメジャーになっているものですので、少なくても検討してみる価値があります。実際に地域枠を利用してから医師になった人の数も増えています。2018年には2,293人となっていて、2024年には1万人弱まで増えると予測されています。多くの人が地域医療に貢献するために活躍していますので、地域枠を上手に利用して夢を叶えるのも一つの選択肢といえるでしょう。

このように、地域枠受験というのは地域の制度ですので、主体となっているのは都道府県などの自治体、もしくはその地域に存在する大学そのものです。地域枠の制度の中身は、奨学金が提供されるというケースが多いです。主体となる自治体か大学が学費や一部の生活費を貸与して、約束通り卒業後に一定年数その地域で医師として勤務したら奨学金の返還が免除されるというケースが多いです。

他にも、地域枠を選ぶことで受験そのものが有利になることも多いです。通常枠とは別に地域枠が作られますので、場合によっては競争率が下がり進学しやすくなります。もしくは、受験科目が減ったり推薦と組み合わせて進学できたりすることもあります。地域枠受験は全国で導入されている制度ですが、それぞれの地域や大学によって具体的な内容は異なるものですので、事前にどの大学でどんな条件での枠を作っているのかを確かめて受験することが大事です。また、地域枠利用に当たっての条件もそれぞれで違いますので、しっかりと確認しておかないと、後でこんなはずではなかったと苦労することもありえます。

ただし、どの大学でも地域枠を使えば受験が有利になるというわけではないので注意が必要です。全体的な傾向としては、都市部などの人気が高いエリアでは、勤務地が限定されているとしてもメリットが大きいので志望者も多くなります。また、奨学金が貸与され、しかもその条件が良いもの、たとえば生活費も貸与対象となるといったケースでも競争率が高くなります。奨学金返済条件も、一定年数の指定地域の勤務で全額免除となれば、それだけ経済的なメリットが大きいため人気が高くなります。このように、地域や制度自体のメリットが高い大学では、逆に志望者が多く集まり競争が厳しくなってしまうこともあるのです。

一方で、地方部で大学の知名度も高くないところでは、地域枠に対して希望者が少ないので受験は楽になります。同じように、奨学金がないとか、その対象金額が低い、返還条件が厳しいといったケースではメリットが少なくなるため、希望者は少なくなります。このように、地域枠は受験が有利になるとは一概に言えないところもありますので、気になる大学の募集要項を細かくチェックすること、過去の受験状況などをチェックすることが重要です。

2.地域枠の種類

上記のように、地域枠というのは、基本的に卒業後の進路についての条件が課されるのは同じですが、実施内容はいくつもの種類があります。大まかに見ると、まず奨学金をメインとした地域枠制度が最も多いです。受験そのものについて地域枠を人数で設定しているケースもありますし、入学した後に希望者に対して選抜して奨学金を貸与するというところもあります。後者のパターンだと、純粋に奨学金をもらうだけの制度となりますので、受験そのものについての優遇措置はありません。

別の種類としては、奨学金が貸与されないケースです。これは、受験そのものについての優遇をするという原則です。その枠に入ることができれば推薦入学とほぼ同じで、面接や小論文だけで受験が終わったり、受験科目が限定されたりします。受験者の限定をしないところもありますが、大学がある地域の高校生のみを対象としているケースもあります。地元から医学部に入ってもらい、そのまま地元で医師として働いてほしいという思惑が見えるタイプです。この種類を利用するのは、奨学金が目的ではなく受験自体を有利に進めるためということになります。

通常、地域枠では卒業後の進路が指定されています。しかし、大学によっては義務の履行を求めないところもあります。卒業後はどの地域で働いても構わないということで、より自由度が高いのが特徴です。この制度では奨学金がないことがほとんどで、地元の高校生を対象として受験枠を設けるという形になります。そのため、より地元から医学部に進む割合を増やしたいというのが目的の制度と言えます。受験で有利になるので、最初から地元の大学を狙っているものの、卒業後は場所に制約されたくないという方にはぴったりです。

こうした実施内容による違いの他、条件の差もあります。地域枠受験の多くは卒業後の勤務についての義務が伴います。大学によっては、勤務先自体も決められていることがあります。多いのは、地元の公立病院や大学系列の病院というパターンです。もう一つは、エリアは決められているものの、病院自体はどこにするかを自分で決められるというパターンです。○○県内の病院であれば私立でも公立でも構わず、病院でなくてもクリニックでも良いという形で自由度が高いです。

他にも、進める診療科目の指定がなされることもあります。日本では産科や小児科の医師の人材不足が深刻化しています。この傾向はどこにおいても一緒なのですが、特に地方部では厳しい状況が見られています。そのため、地域枠では卒業後に、少なくても一定年数指定された診療科目で働く義務を課すケースもあります。指定地域の中であればどの病院でも良いものの、別の診療科は選べないので範囲は絞られてしまいます。もちろん、その分野に進みたいと思っている学生であれば、ちょうど条件が合うので都合が良いでしょう。しかも、診療科限定の大学だと、志望者も少ない傾向にありますので受験を有利に持っていきやすいというメリットもあります。

3.医学部地域枠のメリットとデメリット

他の学部ではあまり見られない制度である医学部地域枠という選択肢は、これから医師になろうと考えている学生にとって大きなメリットがあります。一般受験をするよりも受験そのもの、そして経済面での優遇措置を受けられるからです。一方で、条件付きの制度であることがほとんですので、制約が課せられるというデメリットもあります。こうしたメリットとデメリットの両面をしっかりと認識して、その上で制度を利用するかを決定することが重要です。

メリット

医学部地域枠受験の大きなメリットは、やはり費用面の負担を減らせるという点でしょう。医学部は合計6年間の在学となり、6年間の学費が概ね500万円から、中には2,000万円以上の学費がかかる大学もあります。それだけ高額な学費をまかなうのはかなり大変で、経済的な負担ゆえに医学部を諦めざるを得ないという学生が多いのも事実です。しかし、地域枠では奨学金をもらえて、しかも条件をクリアすれば返還が免除されるわけですからメリットは計り知れないものがあります。能力と意思はあるものの、学費面で難しさを覚えていた生徒には希望を与える制度と言えます。

また、入学しやすいというのもメリットです。一般選抜とは異なる枠で地域枠が作られていますので、競争率が低いところもあるのです。指定地域で働くという条件があるため、中には地域枠についての定員割れを起こしているところさえあります。もちろん、どこで働くかということについての希望が合えばということになりますが、入学を有利に進められるというのはとても助かるところでしょう。また、入りたいと思っている大学の一般入試の競争率が高くて自分の現在の学力では厳しそうだとしても、地域枠なら見込みがあるというケースもあります。そのため、諦めることなく、一度希望する大学に地域枠がないか、例年どのくらいの競争率となっているのかを調べてみると良いでしょう。

地域枠で入学した人たちの医師国家試験の合格率が高いという現状も、一つのメリットと言えるでしょう。医学部に入ったら全員が臨床医(一般的に病院等で直接病気の人たちに医療をしている医師)になるということではなく、医学研究そのものがしたいという人もいれば、とにかく学力の高いところに行きたかったというだけの理由で医学部を選ぶ人もいます。一方で地域枠を選ぶ人は、医師になるという想いを持って入学しますし、卒業後その地域で医師として働くという条件が定められています。さらに、医師国家試験に合格してすぐに医師として勤務し始めないと、奨学金の返還義務が始まってしまうという条件になっていることもあります。こうした将来の希望、志の違いや、条件があるゆえのプレッシャーが追い風となって真剣に医師国家試験に向き合い、結果として合格率が高くなるのです。また、医師になりたいという多くの仲間と出会えますので、モチベーションが高まるというのも良い結果を出す理由となります。

卒業後の進路という面でもメリットがあります。大学によっては、最初から公立病院への勤務が条件付けられています。逆に言うと、進学時点で勤務先が決まっているようなもので、進路に悩まなくて済むわけです。そして、多くの場合勤務先は地元の病院となりますので、地域医療に貢献できるというやりがいを味わえます。地域の人々の健康と命を守る仕事は達成感がありますし、社会的にも意義のあることです。こうした点でも良い進路を選べるというメリットがあるわけです。

デメリット

たくさんのメリットがありますが、一方で地域枠受験にもデメリットがあります。やはり卒業後の勤務についての制約があるというのは、自分の意思で決めたいと考えている人にはデメリットとなるでしょう。多くの場合、指定されるエリアは地方部ですので、全体的な傾向としてはあまり医師の人気が低いところです。また、中には産科や小児科などの診療科目の指定もされるケースがあります。自分がしたい専門分野と違うことをするのは大きな制限となりますので、二の足を踏んでしまうかもしれません。

条件をクリアしないと奨学金を支払わないといけないというデメリットもあります。トータルで貸与される奨学金はかなりの金額となりますので、それを支払うとなるとかなりの負担です。進学したもののいろいろな都合で、医師にならないことにしたという人も一定数います。医師国家試験に合格できなかったとか、体を壊したり家族の事情で他の仕事を選ばざるを得なくなったりしたというケースもあるのです。もしそうなった場合の奨学金返済という金銭的な負担は、かなり大きなものとなってしまいます。大学側が指定する地域での勤務は、通常6年間、長いところでは10年間続ける必要があります。その条件をクリアするのは簡単でないこともありますので、よく理解して受け入れるべきです。

4.まとめ

医学部の地域枠とは、卒業後に大学もしくは自治体が指定する地域で一定年数働くことを条件に、奨学金をもらうなどの優遇措置を受ける制度です。一般受験枠とは別なので入学しやすいという利点もあります。デメリットも理解した上で、賢く利用して夢を叶えましょう。

(情報は2022年7月現在。)

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