2022.08.23更新日

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国立の医学部受験とは?わかりやすく解説!

医学部と聞くと、どんなイメージを持つでしょうか。おそらく「とても頭が良い生徒が進学する学部」とか、「将来、医者になるために行く学部」といったイメージを持っているかもしれません。医学部に対して「頭が良い」というイメージを持つのは当然です。なぜなら、医学部への進学は大学受験の中でも最難関と言っても過言でないほど難しいものだからです。

医学部を設置している大学は日本全国に82校あります。その内訳は、国公立大学が50校、私立大学が31校、そして防衛医科大学(準大学)が1校です。医学部へ進学した場合は、学費を含めてたくさんのお金がかかります。特に、私立大学医学部の場合には多額の費用がかかるため、比較的費用が抑えられる国公立大学医学部の人気がとても高く、試験の難しさに加えて、倍率も高くなっています。国公立大学の医学部を目指す場合には、受験内容や受験科目に関する基本的なことをきちんと理解した上でしっかりとした対策を立てることが、合否を分ける上で重要なこととなります。

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1.国公立の医学部受験の特徴について

国公立大学の医学部を受験する場合にはまず、毎年1月に行われる「大学入学共通テスト」を受験しなければなりません。この試験は医学部に限らず、国公立大学への進学を希望する生徒のほとんどが受験するものですが、医学部の場合はかなり高い結果が求められます。

私立大学との大きな違いは、私立大学の場合、学校によっては大学入学共通テストを受験しなくても良い学校があることです。私立大学は学校によって入試方法が異なり、一般選抜で大学入学共通テストを利用することもあれば、利用せずに大学側の試験だけで選考することもあります。

2.共通テスト

国公立大学の医学部への進学を希望する場合、大学入学共通テストでは最低でも85%以上の成績が必要とされています。また、難関と言われている国公立大学への進学を希望する場合には90%以上と、さらに高い得点が必要となります。この基準は昔から変わらず、今後も同じような基準が求められると予想されます。

大学入学共通テストは各大学が独立行政法人と合同で行う試験のことで、2020年までは「センター試験」という名称で知られていました。2021年度の試験より、現在の名称である「大学入学共通テスト」となり、センター試験の時代から現在に至るまで、マークシート方式が採用されています。

センター試験から変わった点は、答えの正誤だけでなく、思考力や表現力をより評価できるよう、設問に工夫がされていることです。単に暗記力だけが求められるテストではなく、問題から要点を読み取る能力が問われる設問が増えています。普段から課題発見と解決、データや資料を基にした考察などを行っていることが、共通テストで良い成績を取るために求められます。

大学入学共通テストの出題科目は、全部で6教科30科目あります。外国語、数学、理科、国語、地理歴史、公民の6教科です。その中で、さらに細かく科目が分けられます。例えば、数学であれば「数学Ⅰ」と「数学Ⅰ・数学A」、「数学Ⅱ」と「数学Ⅱ・数学B」、また「簿記・会計」、そして「情報関係基礎」に分かれています。受験生は志望する大学と学部に応じて、必要とされている教科と科目を選択して受験します。

2-1.国公立大学の受験科目

国公立大学医学部を受験する場合、大学入学共通テストでは5教科から7科目を受験することが基本です。国語が1科目、外国語が1科目、数学から2科目、理科から2科目、そして地理歴史または公民から1科目の合計7科目です。医学部は理系の学部なので、理数はそれぞれ2科目の受験が必要になります。

私立大学の医学部を受験する場合、理系の人が苦手とする地理歴史や公民の科目を受験しないで済むことがあります。一方、国公立大学医学部の受験の場合には、文系科目の受験も必須となっているのが難点の一つとなるでしょう。もちろん、大学入学共通テストの問題はそこまで難しいものではなく、きちんと時間をかけて学習すればある程度の点数は取れるとは言われますが、限られた時間の時間の中で戦う受験生にとっては大きなハードルとなるかもしれません。

なお、選択できる科目は以下の通りです。
外国語からは、英語、ドイツ語、フランス語、中国語、韓国語から1科目です。
国語は総合の1科目しかありません。国語総合には、現代文に加えて、漢文や古文も含まれています。

数学は数学1と数学2の2つに分かれています。数学1では「数学Ⅰ」と「数学Ⅰ・数学A」の2科目、そして数学2では「数学Ⅱ」と「数学Ⅱ・数学B」また「簿記・会計」そして「情報関係基礎」の4科目から2科目の選択となります。

理科も理科1と理科2の2つに分かれていますが、理科1には「物理基礎」「化学基礎」「生物基礎」「地学基礎」の4科目があります。理科2には「物理」「化学」「生物」さらに「地学」の4科目があります。基本的に医学部を受験する場合、理科2より2科目を選択して受験するのが通例です。

社会では、地理歴史に「世界史A」「世界史B」「日本史A」「日本史B」「地理A」「地理B」の6科目、公民に「現代社会」「倫理」「政治・経済」「倫理・政治・経済」の4科目があり、そのうち1科目を選んで受験します。

学校によっては大学入学共通テストで選択必須となっている科目があるので、予め受験する大学の必須科目を確認しておくことはとても大切です。特に、「英語以外の外国語」「簿記・会計」「情報関係基礎」などは、医学部以外の学部でもほとんどの大学が受験科目として指定していないことが多くあります。

3.個別試験(二次試験)

大学へ進学するには、大学入学共通テストの後に、それぞれの大学が個別に設定する試験を受けなければなりません。その試験を個別試験、または二次試験と呼びます。個別試験の試験内容や試験方式は大学によって異なり、自分が目指す大学に応じて対策を立てておくことが重要になります。

個別試験には、前期日程と後期日程の2つの日程があります。ほとんどの場合、前期日程は大学が設定する科目を受験する筆記試験です。大学入学共通テストの結果と個別試験の結果を合わせて合格か不合格かが決められ、それぞれの配点の割合は大学によって大きく異なります。

後期日程では、大学入学共通テストと小論文と面接のみで選定がなされる大学もあります。小論文では医学に関わるトピックはもちろん、幅広いテーマで出題されることもしばしばです。そのため、進学したい大学の傾向を踏まえて、小論文対策もしっかりと準備・対策をしておく必要があります。なお、後期日程を設けていない大学もあります。

3-1.国公立大学の受験科目

個別試験の前期日程では、ほとんどの国公立大学医学部において、学科試験と面接が行われます。学科試験の受験科目は3教科4科目が主流です。3教科とは、英語、数学(数学Ⅰ・Ⅱ、数学A・B、数学Ⅲ)、そして理科です。理科は、生物・物理・化学の中から2科目を選んで受験する方式が一般的です。

しかし、前期日程で課される科目は大学によって異なります。例えば、東京大学では上記の3教科に国語が含められ、4教科5科目の試験を受けなければなりません。

他にも、選択必須の科目を設けている大学がいくつかあります。特に、理科に必須科目を設けている大学が多くあり、例を挙げると、北海道大学は物理の選択が必須となっています。また、群馬大学、金沢大学、愛媛大学、九州大学、佐賀大学では、物理と化学が必須科目となっています。

逆に、科目の少ない大学もあります。理科の選択科目が1つ、ないしは理科が課されていない大学もあります。科目数が少ないことは現役生には有利なので、理科科目の少ない国公立大学医学部は現役生が多く受験する傾向にあります。

個別試験の後期日程では、学科試験を含めていない大学があります。そのうち、山形大学と名古屋大学では面接のみの試験となります。佐賀大学も面接のみですが、調査書の提出が求められており、その内容に応じて点数が加算されます。調査書の点数と面接で合否が決まります。後期日程が面接のみの大学は共通テストの比重がとても高く、その結果が合否を分けると言っても過言ではありません。

なお、後期日程で学科試験を行う大学もあります。千葉大学、岐阜大学、奈良県立医科大学では、英語・数学・理科が2科目の合計4科目と面接試験があります。山梨大学では、数学・理科2科目・面接の試験があります。これらの大学は個別試験の比重が大学入学共通テストよりも高いため、共通テストで思うような結果が出せなかった受験生が集中する傾向があり、例年、高倍率となっています。

後期日程では面接を行う大学が多くありますが、面接の内容や方法も大学によって異なります。集団面接の場合もあれば、個別面接のこともあります。志望大学の傾向をきちんと確認しておきましょう。

4.国立医学部を受験する際のポイント

国公立大学医学部を受験する際は、大学入学共通テストの対策をしっかりしておくことが重要です。どの国公立大学でも、医学部を目指す場合には共通テストの結果が少なくとも85%以上、できれば90%以上は欲しいところです。

苦手教科でも85%以上の得点を目指すとなると、かなりハードルは高いと言えるでしょう。苦手分野を克服できるよう、早めから準備をしておくことが必要です。志望が理系だからといって、国語や英語、地歴公民などをおろそかにしないようにしましょう。地歴公民の場合は1科目を選んで受験すれば良いので、あらかじめ的を絞って、効率的に勉強しておくと良いでしょう。

数学や理科の場合、受験しなければならない科目も多いので、苦手分野を作らないようにしておきましょう。学校の試験や模試などでは、常に満点が取れるくらいに仕上げておくことが大切です。

これらの教科の科目を選択する際には、自分の得意分野を踏まえて決定すべきです。どの科目の方が受験に有利だとか不利だとかいうウワサを耳にすることがあるかもしれませんが、そのようなことは基本的にありません。むしろ、自分の好きな科目を磨いておく方が受験には有利に働くでしょう。

次の個別試験対策としてできることは、受験する大学の出題傾向をしっかりと把握しておくことです。例えば、基礎的な問題が出題されて高得点を取らなければいけない大学もあれば、難易度の高い問題が出題されるものの、合格基準は比較的低い大学もあります。どちらの大学を受験するかで、取るべき対策は大きく異なるでしょう。

ただし、個別試験の内容ばかりに気を取られていてはいけません。前述したように、大学入学共通テストは国公立大学医学部の受験において避けることのできない道です。そのため、国立医学部を受験する際のポイントは、共通テスト対策で基礎学力を固めながら、個別試験は大学の出題傾向に合わせて準備しておくこと、と言えます。

5、まとめ

私立大学と国公立大学の試験の主な違いは、大学入学共通テストを受けなければならないのかどうかです。国公立大学の場合、共通テストの受験は必須なので、まずは共通テストの対策をしっかりと立てておきましょう。また、大学によって共通テストの受験科目は異なるため、自分の志望校の必須科目を早いうちから確認しておくことが重要です。自分の得意分野や苦手分野を踏まえて、受験する科目を選択することができるでしょう。

個別試験は、大学によって受験科目が大きく異なります。前期日程と後期日程の両方を実施する大学もあれば、前期日程だけ実施して後期日程そのものを設けていない大学もあります。また、学科試験を実施せず、面接や小論文だけ実施する大学もあります。そのため、個別試験では志望大学に合わせた対策を取ることが重要です。

国公立大学医学部に合格するのは決して簡単ではありません。高校生活の早いうちから受験科目の選択を含め、しっかりとした対策を立てて臨むことが重要になります。

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