2022.08.30更新日

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医学部受験|受験科目を国公立と私立で違いを解説

大学受験はどこでも簡単ではありませんが、特に医学部受験は偏差値や入試倍率が高いため、入試の難度も高くなります。医師になるためには医学部に入ることがどうしても避けられない道ですので、進路を決める段階で医学部への合格を目指し、できる限りの対策をすることが重要になってきます。ここで大切なのが、受験科目を確実に把握しておくことです。そうすれば受験勉強の範囲を絞ることができて、より効率の良い対策が可能となるからです。そこで、国公立大医学部か私立大学かの違いを見つつ、どの科目が試験に出るかを考えてみましょう。

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1.医学部受験とは?

大学受験では多くの大学で一次試験と二次試験の両方に受かる必要があります。一次試験に通らなければ二次には進めないのが原則で、それぞれの大学でいわゆる「足切り」が設けられています。こうした原則は医学部でも同じです。ただし、医学部の場合は入試偏差値が総じて高いので、この最低点数が高い傾向にあります。そのため、ある科目でたくさんの点数を取って、苦手な科目をカバーするという方法があまり通用しません。どの科目もまんべんなく高い点数を取らないと、必要点数を取れないのです。この受験科目については、後述する国公立大か私立大かによって違いがあります。

また、医学部の場合は二次試験に大学ごとの独自性が強い現れる傾向にあります。それぞれの大学が求める学生像や教育についての考え方が反映された問題となることが多いです。私立大の場合は、一般的に一次試験から大学ごとの独自性が強い問題が出題されますが、共通テストを一次試験に利用し、大学ごとの試験は二次試験のみということもあります。それだけに、二次試験の重要性が高くなります。

このように、一次試験の受験科目についても二次試験についても、大学ごとの違いが大きいのが医学部の大きな特徴でもあります。特に、国立大学にするか私立大学にするかの差は大きいです。そこで、まずはどちらにするかを決めることが重要です。その上で、大学を絞り込んで、そこの受験科目や問題の傾向を詳しく調べていきます。

2.国立大学医学部の受験科目

国立大学は入試偏差値が高く、教育のレベルも高い傾向にあります。しかし、私立に比べると国立大学医学部の入試倍率は低いところが多いです。といっても、これは国立大学の受験のハードルが低いという意味では決してありません。なぜなら、もともと入試偏差値が高いですし、全国から優秀な学生が受験に集まりますので試験の難度が高いからです。ちょっとした点数の差で合否が決まってしまうことになりますので、その分受験対策のち密さが求められます。

一次試験

国立大の一次試験は他の学部と同じように、大学入学共通テストを受けることになります。国立大医学部の場合、5教科7科目すべてを受験科目としている大学が多く見られます。このように、受験科目の範囲が広いので総合的な学力が求められることが分かります。それに加えて一次試験では総合点数で85パーセント以上の得点を目指す必要があります。科目範囲が広く、しかも高得点が求められるということで、医学部の受験が難関だと言われるのももっとだと納得できます。

詳しく内容を見ていくと、共通テストでは次の5教科が受験対象となるのが一般的です。。

・外国語(英語、リスニングを含む)
・理科(化学、物理、生物から2科目選択)
・数学(数ⅠA、数ⅡB)
・国語(現代文、古文、漢文)
・地歴公民(倫理・政治経済、地理b、日本史Bなどから1科目選択)

このうち、理科については物理と化学、そして生物の中から2科目を選んで受験します。大学によってはあらかじめ科目が決められているケースもあります。国語は現代文と古文、漢文です。地歴公民は政治経済や地理B、日本史Bのうちから1科目を選ぶことが多いです。大学ごとにこれらの組み合わせが限定されていることもありますし、自由に選択できるところも見られます。選択ができると自分の得意分野を活かしやすくなりますし、他の大学との併願がしやすくなるのがメリットです。

ただし、理科については直接医学研究とつながる重要な科目であることから、大学によって指定されているケースも多く見られます。その必須科目を見ることで、それぞれの大学の重視している分野が分かるとも言えますので、大学選びの参考にすることができるでしょう。

医学部だからとにかく理系を強化すれば良い、というわけではない点にも注意しましょう。全体の配点から見ると文系科目の割合も比較的高く、これらの科目で点数を落とすと、いくら理系科目で高得点を取っても試験には受かりません。まんべんなく対策をすべきことが理解できます。

国立大の場合は、一次試験がないとか科目数が少ないところがほとんどありません。そのあたりが私立大との違いとなります。もちろん、最終的に合格できるかは二次試験の成績いかんとなりますが、私立台に比べると一次試験の重要性が非常に高い点には注意しましょう。特定分野に絞り込んで受験対策をするだけでは不十分で、幅広く学力を高めて、抜け落ちている分野がないように対策することが求められます。

二次試験

二次試験は大学による違いが大きい傾向が見られますが、少なくとも国立大の場合はある程度傾向がはっきりとしています。数学と英語を必須とした上で、理科のどれかの科目を1つから2つ選んで受験することが多いです。大学ごとに科目や配点についてはかなりの差があります。そのため、自分が受けたい大学が二次試験で特にどの科目に力を入れているかを確認しておきましょう。

また、科目についての例外もあります。たとえば東京大学や京都大学といった大学では、国語が必須となっています。しかも、独特の問題が出される傾向が強いので、個別の対策が求められます。こうしたことから、途中で受験校を変えると大きく対策の方向性を変えなければならないことも出てくるので、できるだけ早く進路を確定しておくことが大事です。

後期日程の二次試験の場合は、小論文と面接がメインとなることが多く、中にはこの二つだけで合否を判断する大学もあります。そうなると、共通テスト対策に集中できますので、より効率よく勉強できるというメリットが生まれます。自分の偏差値が基準に達するかどうか自信がない人は、こうしたテスト方式を採っている国立大を探してみるのも一つの方法でしょう。

科目試験がない分、小論文の出来が非常に重要になり場合があります。医学部の試験ということで全体としては医療関係のテーマについての小論文を求める割合が高いです。といっても、実際にはその場になってみないとどのテーマが出るかは分からないので、幅広いジャンルについて考察できるよう準備をしておくことが重要です。実際に、医療系ジャンルはあまり取り上げられず、自然科学などが多い大学もありますし、完全に文系のテーマが決められることもあります。大学によっては毎年コロコロとテーマが完全に変わるので、予測しづらいケースも見られます。こうした大学では、様々な分野に目を向けて自分なりの考えを組み立て、それを他者に納得させられる説明をする能力を求めていることが分かります。効果的な対策をするためにも、過去の小論文のテーマとどんな取り扱い方が得点につながっているかの傾向を押さえておくべきです。

どの日程でも、またどの大学でも面接が実施されます。医師になりたいと思う動機や大学の志望理由といった点が聞かれる他、本人のコミュニケーション能力や倫理観、性格などがチェックされます。面接も非常に大事なステップですので、予行演習をして実践的な対策を取っておきましょう。

3.私立大医学部の受験科目

英語、数学、理科が指定されている場合が多く、国語を選択できる大学もあります。入試方式によって、英語と理科だけといった科目数が非常に少ないパターンもあれば、国立大学と変わらない場合も見られます。

このように、私立大を受験するのであれば、まずは希望校をはっきりと定めることが非常に重要であることが分かります。それによって対策すべき受験科目や、同じ科目でも重視したい範囲が大きく変わってくるからです。

一次試験

まず、共通テストを利用できる大学かどうかをチェックしましょう。だいたい半分の私立大学が共通テストを利用した入試方式を設定しています。その上で、それぞれの大学で必須科目や、選択可能な科目が設定されています。受験教科もしくは科目の数についても、国公立大と同じく5教科7科目が必須となっていたり、国語、地歴公民が不要だったりすることもあります。教科数が少ない大学では、文系が英語だけで後はすべて理系というパターンが一般的です。全体の中では、3教科4科目を必須としている大学の割合が高めです。理系重視の傾向が強いですが、英語についてはほとんどの大学で必須科目として設定されていますので、しっかりと対策しなければなりません。

医学部入試では、共通テスト利用方式より、大学独自の問題を出題する一般選抜方式が中心となります。受験科目の傾向は似通っていて、英語に加えて、理科と数学の4科目程度が必要となります。数学は数ⅠAと数ⅡB、数Ⅲが試験範囲に指定され、理科は物理と化学、生物の中から2科目を選ぶ形が取られているケースが多く見られます。

私立大の場合、多少特殊な一次試験内容としているところもあります。たとえば、帝京大学では英語は必須ですが、その他の2科目は数学や理科、国語の中から選んで受験できるとしています。文系にウエイトを置いて受験対策をすることもできるので、他の医学部とはちょっと違う形です。また、中には1科目のみの受験で良いとしている大学さえあります。かなりジャンルを絞り込んで対策ができますので、効率よく勉強を進められるのがメリットです。

さらに特殊な大学としては、総合型選抜(AO入試)や学校推薦型選抜(推薦入試)が存在するところもあります。一般選抜のような学力試験は基本的に行わず、面接や小論文、高校からの推薦内容によって決めるという選考方法です。もちろん、誰でもこの推薦枠を使えるわけではなく、高校が大学の指定校になっているかどういか、成績優秀で人格面でも優れていると判断される生徒かどうかなど受験前のハードルが高いこともあります。しかし、総合型選抜(AO入試)や学校推薦型選抜(推薦入試)を使うことができれば、一般選抜のような学力試験を回避できるので受験に伴う苦労が軽減されます。

二次試験

多くの私立大では二次試験として面接と小論文を行います。小論文は大学によってユニークな形が取られることもあります。たとえば、英語で出題がなされて、その内容に基づいて小論文を作成するといった形です。また、テーマについても医療分野にこだわらないところも多いです。といっても、出題傾向というのはどの大学にも存在しますので、希望校を早い段階で確定して、その大学の小論文テーマを過去にさかのぼってチェックしておきましょう。

私立大では学力重視というよりも、判断力や思考力に力点を置いた選考をする傾向があります。そのため、小論文と共に面接の重要性も高いです。単に志望動機を聞くような面接に終わらず、口述試験に近いような、問題提起の面接がなされることもあります。もちろん、人間性や医師に必要な倫理観が厳しく見られるのは共通していますので、よく準備して面接に臨みましょう。

4.まとめ

医学部受験は他の学部よりも難度が高く、相当な準備と対策をしていないと合格は難しいです。特に大学ごとの違いが出やすいので、早めに志望校を決めてリサーチと的確な準備をしていくことが重要と言えるでしょう。

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