2023.05.23更新日

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医学部受験の理科選択はどの科目を選ぶべき?

大学入試における悩みのひとつに、受験科目の選択があります。どの科目を選択するかは個人の自由ですが、やはり、なるべく入試に有利な科目を選択したいと思うことでしょう。

しかし、メリットだけがある科目は存在しません。どの科目にも必ず、メリットがあればデメリットもあります。大切なのはメリットとデメリットの両方をきちんと理解し、自分の得意や能力に合った科目を選択することです。では、医学部受験をする際に理科の選択科目は何を選べば良いのでしょうか。

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1.医学部受験の理科選択は何科目?

そもそも医学部を受験しようする場合、理科の選択科目には何があるのでしょうか。

国公立・私立を問わず、理科3科目の中から2科目を選択することが一般的になっています。この理科3科目とは、「化学」「物理」「生物」です。これらの中から2科目を選んで受験するので、「化学と物理」「化学と生物」、そして「物理と生物」の3パターンから選択することが一般的です。

しかし、「物理」もしくは「化学」の選択を必須としている大学もあり、受験する際には注意が必要です。直前になってから気付いても手遅れになるので、志望する大学の理科の選択科目は受験勉強を始める前から把握しておきましょう。このように、必須科目がある大学があることを考慮に入れると、「とりあえず医学部へ進学したいが、どこの大学か決めていない」という人や、「国公立大学の医学部であればどこでも良い」という人は、「化学と物理」を選択しておくと無難かもしれません。なぜなら、「生物」を必須科目にしている学校は今のところ存在しないからです。

ちなみに、私立大学の医学部には理科1科目で受験可能な大学もあります。大学ごとの受験科目をあらかじめ下調べすることで受験を有利に進められることもあるので、受験校を決める際には受験科目を忘れずにチェックしましょう。

2.科目ごとの特徴~メリットとデメリットを紹介~

2-1.化学

理科3科目のうち、選択されることが最も多い科目が「化学」です。「化学」の選択を必須としている学校があることがひとつの理由ですが、他にも化学を選択することには大きなメリットがあるからです。

化学は暗記力も必要な教科ですが、計算能力も同様に求められ、暗記したことをベースに、計算して解く問題が多いという特徴があります。化学のメリットは、物理の知識だけで解ける問題、生物の知識だけで解ける問題があることです。つまり、物理を選択しても、生物を選択しても、化学の勉強に応用することができるということです。このように、学習時間を短縮できるという点から化学を選択科目の1つにすることはメリットが大きいです。

一方、化学を選ぶデメリットは、暗記と計算の両立をしなければいけないことです。無機化学、有機化学では初めに知識問題が小問題で問われ、小問題が解けなければ次に取り掛かれないような計算問題がかなりの配点で出題されます。このように教科書のすみずみまで対策しなければ合格に近づかないことが、受験生にとってかなりの負担になっている印象です。

2-2.物理

物理は暗記よりも数学的思考が求められる教科で、高い計算能力が求められます。

「物理」は、「化学」についで多くの受験生が選択する科目です。その理由は、理系を選択する学生は、数学が得意または暗記が苦手という人が多い傾向にあります。暗記量が比較的に少なく、数学的アプローチが求められる「物理」は理系学生に取っ付きやすい科目というわけです。

加えて、物理のメリットには「高得点が狙える」ことも挙げられます。問題の多くは数学的アプローチが求められ、文章による回答が少ないので、計算ミスなどが無ければ満点も狙うことのできる教科です。1~2点を争う入学試験において、高得点が狙えることは大きなメリットの一つです。

デメリットは、計算ミスなどによって大きな失点をするリスクがあることです。物理では、ひとつの計算ミスによって複数の問題を落としてしまう可能性があります。特に、受験では限られた時間の中で多くの問題を解かなければならないので、正確さに加えてスピードも求められます。そうしたプレッシャーの中で正確な計算を求められるのが物理のデメリットといえます。

2-3.生物

理系の学生で「生物」を選択する人は比較的少ないです。その理由は、生物は暗記することが多い科目だからではないでしょうか。

生物を選択することのメリットは、暗記の多い科目なので、本番に失敗するリスクが少ないことです。化学や物理の場合、公式をきちんと暗記して理解していたとしても、計算ミスなどによって間違えてしまうことがあります。一方、生物はきちんと覚えるべきことを覚えてさえいれば、試験でミスすることはあまりありません。大きなプレッシャーの中で試験を受ける受験生にとって、確実に点が取れることは大きなメリットといえるでしょう。また、暗記が多いということは時間をかけて勉強すればするだけ点数につながるので、勉強へのモチベーションに繋がりやすいです。

デメリットは、暗記する内容が多いことです。時間をかければ点数が取りやすいということは、逆に勉強にたくさんの時間がかかるということにつながります。入試までの時間が限られている受験生にとって時間は最も貴重な要素です。暗記のために多くの時間が取られることはデメリットと言えるでしょう。また、文章による解答が多い科目なので、化学や物理に比べて高得点(満点)が取りにくいのもデメリットです。

3.医学部受験の理科選択はどの科目を選んだ方がいい?

医学部を受験する際の理科の選択科目のひとつとして、一般的に多くの受験生が「化学」を選ぶ傾向があります。その理由は、化学の特徴として、物理と生物で学ぶ内容が化学で学ぶこととリンクしているからです。また、医学部進学後にも化学の知識は必要不可欠であるため、医学部受験の選択科目として選ばれることが多い科目です。

残りのもう1科目は暗記が少なく計算力が必要な「物理」を選択する人が多いです。しかし、必ずしも「化学と物理」がベストであるとは言えません。受験のセオリーとして、理系は「物理」「化学」を選択しているという客観的な情報にすぎません。客観的な受験の情報を理解し、最後は「自分に向いている科目選択」を主観的に選択することが受験合格への近道になります。そこで以下では、「自分に向いている科目選択」の方法をご紹介しましょう。

3-1.化学を選択した方がいい人の特徴は?

まず、化学は暗記と計算が半分半分ある科目です。その配分は、理論化学では主に計算、無機化学では主に暗記、有機化学では計算と暗記というようにきれいに分かれています。テストの配点の多くは、理論科学または有機化学に傾きます。

この化学の特徴から、化学は単元別に勉強方法を変えることができる生徒に向いています。例えば、計算が主である理論科学の学習では、時間をとってみっちり計算する一方、無機化学では暗記ノートをすき間時間に学習するというように、ジャンルごとに分けて一日の勉強計画を割り振ることができる生徒に向いています。化学という1科目として勉強時間を確立すると他の科目に割く時間が無くなってしまい、受験勉強全体に影響を及ぼしてしまいます。

化学は、勉強計画を普段立ててから勉強を開始する生徒にとっては、基本的に受験を有利に運ぶ科目です。どうしても化学を選びたいのであれば、勉強計画を立てる癖を付けましょう。

3-2.物理を選択した方がいい人の特徴は?

まず、物理は計算問題が多く、数学のように公式の理解をしてから計算演習を重ねることが必要な科目です。テストでは大問が多く、満点を狙いやすい形式になっています。しかし、裏を返せば、苦手なジャンルがあると0点もあり得る科目であるともいえるでしょう。

物理に向いている人の特徴は、数学的な公式の理解が好きな人と計算演習が好きな人です。上記で説明したように、物理は苦手なジャンルがあると0点もありえる科目です。ですから、どのジャンルでも好き嫌いをせずに、理解と計算演習をすることが重要になります。

また、化学と違って計算問題がメインであるため、勉強計画を立てることが苦手という人におすすめです。毎日物理を勉強する時間を2~3時間程度はとって、計算演習を重ねてテスト対策をしましょう。

3-3.生物を選択した方がいい人の特徴は?

まず、生物は暗記することが多い科目です。テスト形式は小問題、論述問題、考察問題の3種類になります。しかし、3種類の問題を解くためには基本的な生物の知識や考え方が必要なので、主な勉強方法は教科書の暗記、問題集の繰り返しになります。

生物に向いている人の特徴は、暗記を苦と感じない人です。暗記科目は何回も同じ内容を完璧に覚えることが重要となります。暗記を苦痛に感じ、問題を1回しかとかない勉強方法をとると、生物のような膨大な知識量を暗記することは不可能です。

逆に、生物や物理と違って計算問題はあまりありませんので、計算を得意としている人には得意分野を生かせる場は少ないため、生物を選択するのは勿体ないかもしれません。自分の得意を生かすために生物を選択しないという選択肢もありますので、よく考えてから科目選択をしましょう。

4.まとめ

医学部受験をする時の理科の試験においては、ほとんどの場合、3科目のうち2科目を選びます。

2科目のうち1科目は化学を選択する受験生が多いですが、結局は自分の得意を生かす科目を選択することが合格への近道になります。それぞれの科目のメリット、デメリットを理解して科目選択をしましょう。

また、大学によっては受験科目が決まっている大学がありますので、志望校の受験科目は早めに調べておきましょう。たくさんの情報から自分のゴールまでの最短ルートを見つけ出したください。

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