2023.07.07更新日

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医学部と薬学部の違いは何?勉強内容や学費などの違いを解説

医療関係の道を選ぶとき、いくつもの選択肢があります。大学選びの際に多くの学生が医学部と薬学部のどちらにしたら悩んでいるようです。医学部も薬学部も直接医療に関わり、高度なスキルと知識が求められることには変わりがありません。しかし、大学で学ぶ内容や学費、大卒後の進路については大きな違いがあります。その差をしっかりと理解して、自分がどの道を選ぶかを考えましょう。

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1.医学部と薬学部の違いはなに?

まずはそれぞれの学部の特徴について、押さえておきましょう。

1-1.医学部とは?

医学部とは、医師になるための学部と言うことができます。なぜなら、日本では医学部に通わないと医師国家試験が受けられない制度となっているからです。大学生活は6年間で、全国にある国公立と私立に設置されています。中には東京大学のように、入試の時点では「医学部」と言わずに、「理科三類」といった分類をしているところもあります。

医学部ではその名称の通り、医学を修め、特に人体と病気について、深く学ぶことになります。人体そのものについて幅広く知る必要があり、体の仕組みを知った上で、病気がどのようにして生じるのかを学びます。そして、その病気をどのように治療するか、治療の選択肢となる薬物や手術など、それぞれの疾患と症状に応じて適切に選択できるような学習をします。

1-2.薬学部とは?

薬学部とは、薬に焦点を合わせた学部です。主に薬剤師になるために必要な養成機関となり、医学部と同じく、6年間大学で学びます。全国に薬学部を設置している大学は多くあり、中には薬科大学という名称の、薬学について専門的に研究、教育するところもあります。

薬学部もその特性上、人体や病気について学ぶのですが、より薬に注目した教育や実習がなされます。薬の作用や種類、歴史などを学ぶことにより、治療の中でどの薬がどのように使われるかを知ることができます。薬剤師は直接患者さんに薬物を処方するわけではありませんので、医学部のように病気の診断について学ぶのではなく、薬の効果や作用、飲み合わせやリスクなどの観点を深く掘り下げることになります。

2.勉強内容の違い

同じ医療のエキスパートを養成する学部ではありますが、そのアプローチの違いから、実際に大学で学ぶ内容は異なります。カリキュラムの中身と共に、実習などの期間も異なりますので、学び方にも差が出てきます。どんな勉強をするのかを知り、自分に合った学部を選べるようにしたいものです。

2-1.医学部

医学部で勉強する分野としては、基礎医学・臨床医学・社会医学があります。

基礎医学とは、人体の構造や病気の原因を学習することがメインとなります。医師になってからは専門医になるために特定の専門分野を持つことが多いですが、少なくとも医学生のうちは特定の分野を絞り込むのではなく、全てのジャンルを漏れなく学びます。そのため、内臓から皮膚まで、全ての人体構造についての講義がなされます。また、ウイルスや細菌などの感染源、癌や遺伝的要因による発症、生活習慣病など病気をもたらす要素について、それぞれの人体に及ぼす影響と関連させながら知識を深めていきます。

臨床医学では、主にそれぞれの病気がどのような症状を呈して、どんな原因で、どのように進行していくのかを学びます。病気の分類と診断ができるように、知識と判断力を磨いていくのが目的です。そのため、非常に多岐にわたる病気の名称と症状、治療法などをすべて覚える必要があり、かなりハードな勉強となります。

また、医学部では必ず「臨床」と呼ばれる実習期間があります。大学によってその内容や期間に多少の差はありますが、基本的には72週間の臨床実習期間が設けられます。概ね4年次の後半から6年次の初め頃まで行うことになります。大学の付属病院における実習や、関連病院に派遣されて臨床経験を積んでいきます。

医師は、単に病気についての知識があり、診断ができれば良いわけではありません。適切な薬物を選択してその頻度や量を示したり、手術によって治療したりします。知識だけでなく経験と手を動かして学ぶ技術も必要となります。そのため、医学部では知識を蓄えるだけでなく、手を動かしたりしながら実際に体験して学ぶ時間が長いのも特徴です。特に、外科系の道に進みたいと思っている人は、手技がないと治療できませんので、身体的なテクニックを覚えることも重視しなければなりません。卒業後にどの専門医をとるかの参考にするつもりで学びましょう。

医学部は合計で6年間ありますが、のんびりと過ごせる期間はなく、常に忙しい状態です。それは、必修科目ばかりで、講義を休むことができないからです。物理や英語などの教養も必要となるため、直接医学の勉強でない講義もしっかりと受ける必要があります。学年があがっていけば、専門科目がスタートして、さらに複雑で専門的な勉強をすることになります。臨床実習が始まると、頭だけでなく、体を動かして学んでいくため、体力的にもハードな期間がスタートします。このように、医学部は入学後に楽をできることは決してありません。むしろ在学中の方が忙しく、頭も体もフルに動かし続けながら学んでいくところなのです。

2-2.薬学部

薬学部でも病気や人体についての基礎的な点を学びますが、やはり薬を専門的に学ぶように、カリキュラムが組まれています。具体的には、薬理学や有機化学、製薬の歴史や技術、分析化学などの化学関連の勉強がかなりの割合を占めます。また、実際に流通している医薬品の情報や使用法、効能、そして管理の仕方など、実践的なポイントも学びます。病気の種類が多いのと同じように、薬の種類も非常に多く、覚えるために一生懸命努力しなければなりません。

全体的には、化学と生物学がカリキュラムの中心となります。具体的には、薬を服用して体の中でどのように化学反応を起こすのか、薬の飲み合わせで生じる反応などを学習します。

こうした基本的な薬そのものについての知識を深めたら、医療薬学や社会薬学、臨床薬学と呼ばれる分野を学んでいきます。どの病気に対してどの薬が使われるのか、適量や副作用などの実際的な知識を習得することになります。また、薬剤が社会に及ぼす影響や、公衆衛生でどのように使われるかという点も、考えることになります。

薬学部も必修科目が他の学部よりも多いので、毎日忙しい時間を過ごすことになります。特に、化学系の授業では高度で専門的な内容を学びますので、付いていくために自習する必要も出てくるでしょう。大学によって違いはありますが、2年次くらいから専門科目が増えてきて、さらに学ぶ内容が多くなると共に、専門的になってきます。専門科目も含めた必修科目が多く、それらの単位を一つでも落とすと留年してしまうので、講義に欠かさず出て、試験を確実にパスできるように勉強をしなければなりません。

医学部と同じように、薬学部も実習が必須です。期間は医学部よりも少なく、基本は22週が実習として取り分けられています。薬剤師は病院や薬局に勤務することが多いので、薬学部実習は病院と薬局の両方で実施します。実際の現場での調剤や、患者さんと対面で接する経験ができる期間となります。医師に比べると、直接患者さんと交流してコミュニケーションを取ることが多いので、単に薬学についての知識を身につけるだけでなく、人との接し方という点についても学ぶ必要があります。

3.学費の違い

医学部も薬学部も同じ6年間の在学で、高度な知識とスキルを習得するということで、他の学部よりも学費が高い傾向にあります。それでも、医学部と薬学部の間には差が見られますので、事前に把握して、経済的な負担についてあらかじめ備えておきましょう。

3-1.医学部

国公立の場合は、どの大学でも国に定められた基準がありますので、それほど大きな差はありません。6年間のトータルで350万円程度となっていて、比較的負担が少ないのがメリットです。一方で、私立について大学ごとかなりの違いあり、大学選びを慎重にする必要があります。概ね6年間のトータルで2000万円から4000万円というところで、同じ私立でも倍以上の開きがあります。国公立と比べると10倍以上の差が出ることもあるので、私立か国公立かという選択は大きな意味を持ちます。

3-2.薬学部

薬学部も、国公立の場合は国の基準に沿っているので、大学ごとの違いはほとんどなく、6年間のトータルで350万円程度と医学部と同程度です。私立については、大学によって差があるものの、医学部ほどの差はありません。6年間のトータルでは1200万円から1400万円が平均的で、医学部よりは安い思っておくと良いでしょう。大学による差がない分、選択肢を広げて受験することができることはとても大きなメリットでしょう。

4.進路先の違い

医学部と薬学部では取れる資格が違いますので、必然的に卒業後の進路も変わってきます。将来なりたい職業を明確にした上で、学部を決めることが求められます。

4-1.医学部

医学部を卒業すると、医師国家試験の受験資格が得られます。そのため、基本的には医師になるのが大半の卒業生の進路です。もちろん、内科や外科、精神科など診療科目の違いがありますし、病院勤務や将来的に開業医になる、地域医療を行うといった違いもあります。それぞれの大学で得意とするジャンルがありますので、同じ医師になるという進路でも、その差を事前にリサーチして大学を選ぶと良いでしょう。特に地方の大学では地域医療を重視している傾向がありますので、その道に進みたいのであれば、あらかじめ自分の働きたいエリアの大学を選ぶと良いでしょう。

診療をする医師の中でも、病院で患者さんを診るだけでなく、企業に勤めて産業医となる進路もあります。また、官公庁に勤めて地域の保健医療に携わったり、医療制度そのものの構築や改善を担う医系技官になったり、という道も存在します。

また、臨床医だけでなく、研究医になるという進路もあります。実際に病院で患者さんの診療をするのではなく、病気の治療法の発見や分析、社会衛生や感染症の対策を研究する分野です。研究医として活躍する人の多くは、大学の後に大学院にそのまま進み、専門分野についての研究を進めます。

研究医では、同じ大学の大学院に行くこともありますが、専門分野によっては他の大学に行く人もいます。さらに、海外で研究が盛んな分野もあるので、アメリカやヨーロッパを中心に留学する学生も一定数見られます。多くの大学では国際交流を重視していて、留学生の受け入れと共に、実績のある海外大学への留学プログラムを設けています。こうした制度を利用して、早くから海外に目を向けたキャリア形成をすることもできるでしょう。目指す進路を早めに決めることで多くのメリットを得られます。進路を決めて受験に臨むことは将来のためにも大切になるでしょう。

4-2.薬学部

薬学部卒業見込みとなると、薬剤師国家試験の受験資格を得られます。大学でも薬剤師の資格を取れるように全面的にバックアップしていて、大学の後半では受験対策を徹底して行っています。薬剤師の資格が取れれば、卒業後の進路には様々な選択肢があります。

最も多いのは、薬局における勤務です。調剤薬局やドラッグストアで、調剤をしたり、患者さんへの聞き取りや医薬品の説明をしたりします。接客サービス業という側面もありますので、たくさんの人とのコミュニケーションを楽しみながら働けます。

薬局に次いで多いのが病院勤務です。病院内にある薬局で調剤をしたり、患者さんに医薬品を手渡したりします。医療チームの一員となって、医師や看護師と協力し、適切な薬の処方がなされているかの確認や投薬コントロールを行います。

他にも、製薬会社に勤めて研究開発やデータ管理、分析をする薬剤師もいますし、医薬品関連企業の営業の仕事をする人もいます。それぞれのスキルや好みを発揮して、様々な進路を見出せるのが特徴です。

5.まとめ

同じ医療に携わるものの、医学部と薬学部では勉強内容や進路、そして学費などに違いが見られます。まずは自分が将来何になりたいかを決めて、それに合った教育を受けられる学部を選ぶことが重要です。同時に、学費や偏差値などを考慮して志望校を選ぶことで、満足のいく学生生活ができるでしょう。

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